
調達・購買業務を担当されている方の中には、複数のサプライヤーをExcelや紙で管理していて、情報が散在し評価や分析に膨大な時間がかかっているという課題を抱えている場合も多いのではないでしょうか。こうした課題を解決するのが、サプライヤー管理システム(SRMシステム)です。本記事では、サプライヤー管理システムの基本概念から主要機能、導入メリット、選定ポイントまでを解説します。
サプライヤー管理システムとは?

サプライヤー管理システム(SRMシステム)とは、取引先(サプライヤー)の評価・管理のプロセスを見える化し、ひとつのシステムにまとめて管理するツールです。
具体的には、
基本情報
CSR情報
保有設備
納期
取引額
不良率
など、多岐にわたる情報を一括で管理できます。
Excelやメールによる管理では、情報が散らばったり、更新が漏れるといった問題が起きがちでした。しかしサプライヤー管理システムを導入することで、情報の収集・保管・共有・集計・分析という一連の流れを自動化できます。
こうして蓄積した情報を定期的に評価し、調達戦略の立案に活かすことで、コストの削減・安定した供給の確保・リスクの分散といった目標を実現できるのです。
なお、「システム活用の前に、SRMについて詳しく知っておきたい」という方は以下の記事も参考にしてください。
関連記事:SRMとは?必要な理由やメリット、導入時の手順や注意点を解説
サプライヤー管理システムの4つの主要機能

サプライヤー管理システムには、調達・購買業務を効率化したサプライヤー管理を実現するための機能が備わっています。ここでは、システムの核となる以下4つの主要機能について解説します。
サプライヤー情報の一元管理
サプライヤー評価と格付け
取引実績とパフォーマンス分析
サプライヤーとのコミュニケーション機能
順番に見ていきましょう。
機能1:サプライヤー情報の一元管理
一元管理機能は、サプライヤー管理システムのメインとなる機能です。具体的には、社名や連絡先といった基本情報から、
品質
納期
経営状況
などサプライヤーに関するあらゆる情報を、一つのシステムに集約します。
上記のような散在しがちな情報を統合することで、評価・格付け・管理を効率化し、社内全体での情報共有が可能になります。
機能2:サプライヤー評価と格付け
サプライヤー評価と格付け機能は、取引先の実力を定量・定性の両面から評価する機能です。品質や納期、コスト、技術力などの多角的な評価項目を設定し、サプライヤーのパフォーマンスを総合的に判断します。定量評価では、納期遵守率やコスト低減額などをシステムが自動集計して、スコアリングします。
一方、定性評価では、対応スピードや技術力などについて関連部署へアンケートを行い、集計できるものもあるのです。
機能3:取引実績とパフォーマンス分析
取引実績とパフォーマンス分析機能は、過去のデータを蓄積・集計し、サプライヤーの実績を可視化する機能です。
たとえば、
工場別・月別・品目別の発注実績
納期実績や品質実績
などを自動的に集計し、サプライヤーのパフォーマンスを数値で把握できます。
納期遅延の頻度や不良品の発生傾向を時系列で追跡すれば、サプライヤーの品質や供給能力の変化を早期に察知できるでしょう。
機能4:サプライヤーとのコミュニケーション機能
サプライヤーとのコミュニケーション機能は、お互いの情報共有とスムーズな連携が期待できる機能です。ドキュメント共有やチャットなどの機能により、サプライヤーとのやり取りをシステム上で一元管理できます。
またサプライヤーポータルと呼ばれるオンライン上のプラットフォームを活用すれば、見積依頼から発注、納期調整、品質確認まで、一連の業務フローの管理も可能です。
サプライヤー管理システムを導入する4つのメリット

サプライヤー管理システムを導入するメリットとして、おもに以下の4つがあげられます。
業務効率化と時間削減
調達コストの削減
サプライチェーンリスクの低減
属人化解消とガバナンス強化
順番に見ていきましょう。
メリット1:業務効率化と時間削減
業務効率化と時間削減は、サプライヤー管理システム導入のメインになるメリットです。従来のExcelでの運用では、評価シートの作成から配布・回収、集計、分析、管理まで、時間や手間がかかる工程が多く、効率化には程遠い状況でした。
しかしシステムを導入すると、サプライヤーの評価やその管理など、サプライヤー管理にかかわる業務を一貫してシステム上で行えるようになります。その結果、手動更新の面倒さと更新漏れが解消でき、効率化が実現するでしょう。
これまでサプライヤー管理にかけていた時間をほかの業務に振り分けられるため、調達購買担当者は、付加価値の高い業務に注力できるようになります。
メリット2:調達コストの削減
サプライヤー管理システムを使うと、優良な取引先をまとめて管理でき、より有利な条件で購買できるようになります。取引の実績やパフォーマンスデータを活用することで、感覚ではなく根拠のある価格交渉ができるのが大きなポイントです。
たとえば、品目ごとにいくら使っているかを把握すれば「まとめて買うから割引可能か」という交渉がしやすくなります。また、似たような商品を複数のサプライヤーから別々に買っている場合、発注先を一本化することで管理の手間と購入単価の両方の効率化も期待できます。このように発注を集約して交渉力を高めることで、コストを継続的に削減できるでしょう。
メリット3:サプライチェーンリスクの低減
予測が難しいリスクが増えている今、サプライチェーンリスクの低減は重要です。サプライヤー管理システムを使うと、取引先の財務状況や供給能力を継続的にチェックでき、問題の兆候を早めに掴めるようになります。
たとえばBCPへの対応状況や、ISOの取得状況といったコンプライアンス情報をひとまとめに管理することで、取引先の経営悪化や供給トラブルにいち早く気づけるでしょう。こうした仕組みにより、納期の遅れや品質問題を早期に発見・対処できるだけでなく、いざというときに別の取引先へスムーズに切り替える体制を整えられます。
メリット4:属人化解消とガバナンス強化
サプライヤーに関する情報をシステムで全社共有すれば、属人化の解消が期待できます。担当者が異動や退職をしても、業務を滞りなく続けられるでしょう。また評価基準を細かく設定し、評価の手順を明確にしておけば、担当者によって評価がバラバラになるのを防いで、公平な取引先選定につなげられます。
取引の履歴や評価結果、やり取りの記録はすべてシステム上に残るため、情報が特定の人だけに集中することなく、誰でも必要な情報にアクセスできる体制を整えられます。
サプライヤー管理システム選定時の5つの比較ポイント

サプライヤー管理システムを選定する際のポイントとしては、以下の5つがあげられます。
自社の業種・規模に適した機能
既存システムとの連携性
導入形態とコスト
使いやすさとサポート体制
拡張性とセキュリティ
順番に見ていきましょう。
ポイント1:自社の業種・規模に適した機能
システムを選ぶ際にまず確認したいのが、自社の業種や規模に合った機能が備わっているかどうかです。サプライヤー管理システムには大きく2つの種類があります。ひとつは取引先の評価に特化したタイプ、もうひとつはサプライヤー管理やリスク管理など幅広い用途に対応できる汎用タイプです。
まず「製造業向けに特化しているか、それとも汎用型か」を見極めたうえで、自社の業界に合った機能を持つシステムを選ぶことが大切です。あわせて、直接資材・間接資材・サービス調達のどこまでに対応しているかも確認しましょう。自社が管理したい調達の範囲をカバーできるかどうかが、選定の重要なポイントになります。
ポイント2:既存システムとの連携性
既存のシステムとうまく連携できるかどうかは、導入後の業務効率を大きく左右する重要なポイントです。なかでも、ERPシステムとのデータ連携のしやすさは特に確認が必要です。基幹システムから取得しなければならない情報は多く、スムーズに連携できる環境が欠かせません。
連携がうまくいけば、導入時のデータ引き継ぎが楽になるだけでなく、運用開始後も購買管理システムなど他のシステムと連動させることで、日々の業務を効率化できます。反対に、連携に対応していないシステムを選んでしまうと、本来なら自動で処理できるはずの作業を担当者が手作業で行うことになり、かえって業務負担が増えてしまう可能性があります。
ポイント3:導入形態とコスト
導入形態とコストは、長く使い続けることを見据えて慎重に検討すべきポイントです。サプライヤー管理システムには「SaaS型(クラウド型)」と「オンプレミス型」の2種類があり、それぞれ特徴と費用の構造が異なります。SaaS型は初期費用を抑えやすく、ユーザー数などに応じた月額・年額の利用料を支払う形が一般的です。
一方、オンプレミス型は最初の構築にまとまった費用がかかりやすい反面、運用の仕方によっては月々のランニングコストを抑えられる場合があります。違いを踏まえたうえで、初期費用とランニングコストの両方を合わせて試算し、コストと機能のバランスを見ながら自社に合ったものを選ぶことが大切です。
ポイント4:使いやすさとサポート体制
使いやすさとサポート体制は、システムが社内にしっかり定着し、長く活用され続けるかどうかを左右する大切なポイントです。システムを選定する際は自社の担当者だけでなく、取引先にとっても操作しやすいかといった視点も大切です。
システム操作に不慣れな取引先がいる場合は、担当者が代わりに登録を行える機能があるかどうか、また全体的に操作がわかりやすいかを事前にチェックしておくと、スムーズな運用につながるでしょう。さらに、導入時から運用開始後まで一貫してサポートしてもらえる体制が整っているかどうかも、忘れずに確認しておきましょう。
ポイント5:拡張性とセキュリティ
拡張性とセキュリティは、将来の事業成長とリスク管理の両面から欠かせない確認ポイントです。事業の拡大に合わせて機能を追加したり、利用規模を広げられるかを確認しておきましょう。また、サプライヤーの機密情報を扱うシステムである以上、セキュリティへの配慮も非常に重要です。
データの保護や、誰がどの情報にアクセスできるかを細かく設定できるか、またシステム自体に十分なセキュリティ対策が施されているかを確認しましょう。クラウド型(SaaS型)の場合は、提供会社のセキュリティレベルがそのまま自社のリスクに直結するため、事前にしっかり見極めが大切です。
調達DXの最新情報を学ぶ
調達・購買業務をデジタル化していくうえで、サプライヤー管理システムの導入は欠かせません。「調達DXカンファレンス」では、製造業の調達・購買部門が抱える課題や、デジタル化の最新事例を紹介しています。
業界の専門家や先進企業の事例を通じて最新のトレンドやベストプラクティスを知ることは、システムの効果を最大限に引き出すうえで役立つでしょう。
調達DXに取り組みたいとお考えの方や、サプライヤー管理の改善に課題を感じている方は、ぜひ自社の改善のヒントを探す際の参考としてご活用ください。
▶詳細はこちらから
まとめ
サプライヤー管理システム(SRMシステム)は、取引先に関するあらゆる情報を一か所に集約し、評価・分析・リスク管理まで一括して担えるシステムです。Excelやメールによるバラバラな管理では、情報の更新漏れや評価工数の増大が避けられませんでした。システム化によって、業務効率化・調達コスト削減・サプライチェーンリスク低減・属人化解消が同時に実現でき、調達部門全体の競争力を大きく高めることができます。
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