
メールとExcelからの脱却が、部門・サプライヤー間の連携を強化、株式会社タクミナの購買改革


社名
株式会社タクミナ
従業員数
328名(2025年3月現在。嘱託社員、契約社員、パートタイマー、派遣社員等除く)
事業内容
精密ポンプ・流体制御機器の製造 販売
課題
・アナログ業務による煩雑な業務と管理の属人化
・部門間の連携ができていなかった
株式会社タクミナ様は、精密ポンプや薬液移送ポンプなどの製造・販売を手掛ける企業です。
同社の購買業務においてリーナーが活用されています。リーナーの導入背景やその効果について、詳しくお話を伺いました。
■お話しを伺った方
株式会社タクミナ
取締役 執行役員 生産本部長 兼 製造管理部長 井上 様
執行役員 技術本部長 兼 技術部長 荒井 様
開発センター センター長 久木留 様
製造管理部 製造管理課 課長 山田 様
製造管理部 製造管理課 購買係 係長 粂井 様
ー最初に貴社の事業概要と調達部門の組織体制について教えてください。
井上様:当社は、精密ポンプ、薬液移送ポンプ、計装装置、ケミカルタンクなどの製造・販売を行っています。
私は生産本部長として、製造管理部なども含めて全体を管掌しています。
ー「リーナー」導入の背景と、当時抱えていた課題について教えてください。
井上様:当社はカスタマイズ製品、いわゆる特注品を多く手掛けているため、日々新しい部品の図面が生まれます。その図面を基に、購買部門がサプライヤー様と交渉し、製品化を進めるのですが、この一連の業務に時間がかかり、常に業務に追われている状況でした。課題を感じてはいましたが、何から改善すべきか、糸口をなかなか見つけられずにいました。
山田様:見積もりを依頼する際、図面をメールに添付し、サプライヤー様ごとに個別のメールを作成・送信する手作業が発生していました。また、各案件の業務管理は担当者個人のExcelに依存していたため、チームメンバーや上長が業務状況を把握しにくく、管理も非常に煩雑でした。その結果、納期遅れや業務の抜け漏れが発生することもありました。
粂井様:購買担当者は決まっているものの、依頼者側が担当者を把握しておらず、複数の担当者へメールで依頼を送るので業務が混乱していた感じもありました。
当時は見積業務に使えるツールがメールしかなかったので、依頼を受けた側もタスクの管理が難しく、サプライヤー様から回答を得た後も、それらを集約して依頼元へフィードバックする業務に大きな負担がかかっていました。

部署全体で1日に100〜200件ものメールをやり取りする中で、管理方法はメールにフラグを立てるといった原始的な方法で進めていました。そのため、業務も管理も個人の能力に依存してしまい、「問題なく進んでいるかな」と常に少し不安でした。
山田様:こうした状況から、社内では「資材(購買)に頼むのは無駄だ」という雰囲気もあり、技術部門や開発部門から直接サプライヤー様に見積もりを取る、ということも起きていました。
会社としては、それぞれの部門で本来の業務に時間を使って欲しいという想いがあり、サプライヤー様との窓口は購買部門に集約すべきだと考えています。よってこの状況は大きな課題だと感じていました。

荒井様:技術本部としても、本来は設計開発に注力すべきところを、購買部門を通さずに自ら見積もり業務を行ってしまう状況がありました。しかし、我々が知っているサプライヤー様からしか見積もりを取らないため、提示された金額が市場で本当に妥当なのか判断がつかず、製品のコストパフォーマンスを発揮できているのかという疑問は常にありました。
久木留様:開発センターはスピードが求められるため、サプライヤー様と直接やり取りする方が早いと考えていたところもありました。購買部門に依頼しても、今どういう状況なのか、進捗が全く見えません。そのため毎日のように電話で進捗や状況を確認する作業が発生し、それがお互いのストレスになり、部門間の関係性を悪化させる一因になっていたと感じます。
ー調達業務の改革に着手されたきっかけを教えてください。
山田様:課題は感じていたものの、日々の「まだか、まだか」「できたか、できてないか」といった進捗確認のやり取りが多く、見積もり業務にまつわる無駄な作業を強く意識していました。そのタイミングでリーナーさんからご提案をいただいたのが、改革に着手するきっかけです。見積システムがあることは知っていましたが、実際に操作画面を詳しく見せてもらい、「時代は進んでいるんだな」と実感しました。
井上様:取り組みに着手する際には、当社が抱える課題と同じくらい、サプライヤー様にもご迷惑をおかけしていることに気づきました。そして、リーナーがサプライヤー様の業務改善にもつながるツールであると知り、共に課題を解決できるという点も、導入検討を進める一要因でした。
ーリーナーの導入における決め手を教えてください。
井上様:最も魅力を感じたのは、これまでの業務をデータとして蓄積できる点です。私たちが抱えていた課題をすべて解決できると確信し、導入を決めました。

山田様:最終的に稟議を上げる際は、業務のスリム化による効率向上だけでなく、サプライヤー様とのコミュニケーションが円滑になることや、過去の実績を簡単に参照できる点を価値として伝えました。また、初期投資を抑えてスモールスタートできる点も、他の大規模システムとは違う魅力でした。
荒井様: 技術部門の課題が少しでも解消されることに期待していました。メンバーのストレスが軽減されていくのを感じ、コストパフォーマンスも高いと判断できたことも導入の大きなポイントでした。
ー「リーナー」を活用して生まれた効果や変化を教えてください。
粂井様:最も大きな変化は、電話でのコミュニケーション内容です。以前は「見積もりはまだですか?」といった催促が多かったのですが、今では「リーナーのこの案件はどうなっていますか?」と、より具体的な内容に変わりました。また、残業時間も減り、メンバーが早く帰宅できるようになりました。業務状況が可視化され、時間に余裕ができたことで、後手に回りがちだった業務も先回りして対応できるようになっています。
井上様:私も大きな変化はコミュニケーションだと感じています。技術部門と資材部門の間で頻発していた、「どうなっていますか?」といった進捗確認のやり取りがなくなりました。お互いの状況が可視化されたことで、コミュニケーションが非常にスムーズになったと、見ているだけで分かるほど変化を感じています。
荒井様:見積もりの進捗状況が可視化されたことに大きな効果を感じています。以前は担当者のデスクまで行って直接確認していたことが、リーナーを見ればサプライヤー様の状況まで把握できるようになりました。その結果、コミュニケーションや質問の内容がより深いものになったと感じています。

粂井様:現在、開発、技術、製造、品質保証など5~6部門、十数名がリーナーを活用しています。ここまで広範囲に展開できたのは、導入時の手厚いサポートのおかげです。各部署への説明会などを実施していただいたことで、導入担当である私の問い合わせ対応の負担も大幅に軽減されました。
ーサプライヤー様からの反応はいかがでしたか?
山田様:サプライヤー様からは、導入に対して反対や不満はほとんどなく、スムーズに受け入れていただきました。
これまでは、見積もりを依頼しても結果を通知しないことが多く、サプライヤー様から「見てくれているのかな」「どうなったのかな」といった不安の声を聞くこともありました。
リーナー導入後は、採用・不採用にかかわらず結果をきちんとお伝えできるようになったため、「決まったかどうか分かるだけでもありがたい」というお声をいただいています。結果を通知することで、サプライヤー様から「どのくらいの価格帯で決まったのか」といった質問も来るようになり、次の提案につながるような前向きな問い合わせが増えました。
粂井様:これまでサプライヤー様から「うちにも見積もりの機会がほしい」というお声をいただくことがありましたが、余裕がなく、当社から声をかけられていないこともありました。今ではリーナーを通して、より多くのサプライヤー様に網羅的に依頼できるようになったため、弊社としての機会損失も減ったと感じています。サプライヤー様もチャレンジする機会が増えたことを喜んでいただいています。
ー蓄積される購買データを活用して、今後取り組みたいことはありますか?
粂井様:今後は蓄積されたデータを分析し、妥当な金額の指標を算出していきたいです。その指標を基に、本当に必要な見積もりだけを取得していくことで、さらなる業務の効率化を目指したいと考えています。
久木留様:開発としては、AIなどを活用して、新しい部品の見積もりを依頼する際に「このサプライヤー様なら、これくらいの概算金額になるだろう」と予測できる機能があれば、開発スピードがさらに上がると期待しています。過去のデータを基に、大まかな原価を意識しながら設計を進められるようになるのは非常に魅力的です。

ー最後に、調達部門として将来的に取り組んでいきたいことをお聞かせください。
山田様:これまでの購買業務は図面や注文書のやり取りで終わっているところがありました。業務を効率化して新しく生み出された時間で、サプライヤー様との関係構築にさらに注力していきたいです。直接足を運び、顔を合わせて話をすることで、より強固な信頼関係を築いていきたいと考えています。
粂井様:捻出できた時間を使って、新規サプライヤー様の開拓や、既存のサプライヤー様との関係をより深化させる活動に充てていきたいです。
井上様:今回のリーナー導入について、経営視点では費用対効果はもちろんですが、購買部門が、新しい取り組みで課題解決しようとしている姿勢を評価してもらえたところもあります。
そして、調達部門の業務効率化は、工場全体の効率化に繋がります。今後もリーナーのようなツールを活用しながら、会社全体としてより効率的に業務を回していくための新しい方法を考え、実行していく時間を確保していきたいです。