Leaner

澤藤電機が追求する「繋がる」価値 〜全社連携で拓く、真の企業競争力と調達の未来〜  

社名

澤藤電機株式会社

従業員数

719人(2025年3月31日現在)

事業内容

電装品・電子製品、発電機、冷蔵庫の製造

課題

リーナー導入に至る経営判断の背景、調達改革が企業にもたらす具体的な効果、そして澤藤電機の未来のビジョンについて

澤藤電機株式会社は、「良い商品を造り、企業としての社会的責任を果たし、関係する全ての人に栄を与える」という経営理念のもと、電装品、発電機、冷蔵庫の3つの技術分野で事業を展開しています。特に24V系商用車向け電装品で国内市場をリードし、発電機は主に海外展開、車載用小型冷蔵庫では長年にわたりオーストラリアのアウトドア市場に展開、商用車の電動化製品開発にも注力しています。

同社の調達部に、「リーナー」が導入されました。リーナー導入に至る経営判断の背景、調達改革が企業にもたらす具体的な効果、そして澤藤電機の未来のビジョンについて、深く掘り下げてお話を伺いました。

本対談は、株式会社Leaner Technologies 取締役COOの田中 英地が澤藤電機 代表取締役社長の下山 泰樹様に、お話を伺いました。

澤藤電機株式会社 代表取締役社長 下山 様
株式会社Leaner Technologies 取締役COO 田中 英地


「利益意識」を全社員へ、澤藤電機の改革

田中:今回のリーナー導入、そして調達改革の背景にある、澤藤電機株式会社の組織としての方向性をお聞かせください。

会社の方向性として、「どうすれば会社の利益が見えてくるのか、そして社員一人ひとりが利益を意識して仕事に取り組めるのか」を具体化するために、何十年ぶりかの組織編成を行いました。会社の利益向上を目指し、このような大きな組織編成に踏み切った背景には、「買う」という入口と「売る」という出口を常に連携させることで、初めて利益が生まれるという考えがあったからです。

田中:組織編成を行なった背景の理由、また「買う」という入口と「売る」という出口について詳しく教えてください。

会社の利益は、売上から仕入れを差し引いて初めて明確になります。この引き算がなければ利益は生まれません。しかし、これまで当社では「売る」チームと「買う」チームが分断されていました。営業が「売る」、調達が「買う」というそれぞれの役割だけでは、単なるコストになりかねません。日々の業務を行っても、最終的な決算で会社の利益がどうなっているのか、という視点を持ちにくいことが課題でした。

他の企業、特に機能別組織体制を採用している場合は、同様の状況が見られるのではないでしょうか。このような組織体制では一人ひとりの利益への意識が薄まりがちなため、当社では「事業」という括りで入口(仕入れ)と出口(売上)を常に意識できるよう、組織編成を行いました。
今はまだ、正直なところ組織の箱を入れ替えた段階です。この新しい体制を機能させるには、リーナーのようなシステム、そしてその進化が不可欠だと考えています。
そして、システムを使うのは結局人なので、人の意識が変わらなければ真の変革は起こりません。このタイミングで、いかに意識付けを行い、意識改革を進めていくかが重要だと捉えています。

「点」から「線」へ、全社で利益を創造する部門間連携が拓く企業競争力

田中:組織間の連携を最も重要視し、各部門が自身の業務と会社の利益との繋がりを意識するべきという考え、非常に共感できます。各部門が連携を強化することで、具体的にどのようなシナジーが生まれるとお考えでしょうか?

組織間のつながりを確保することは、各自の仕事が会社全体にどう貢献しているのかを常に意識することに繋がり、最も重要だと考えています。

商品開発の初期段階では、製品企画担当者が製品にどのような付加価値を付け、この開発を進めるべきかを検討します。次に原価企画担当者が、これまでの経験データに基づき「これはいくらで買うべきか」という適正価格を導き出します。そして調達担当者は、その「買いたい値段」「買うべき値段」を理解した上で、実際に購入してくる役割を担います。さらに営業担当者は、売れたものがいくらで仕入れられ、いくらで製造されたのかを常に把握し、引き算をしながら販売することが求められます。

このような部門間の密接な連携は、今後の調達部門を含め、全社的に実現したいと考えています。これが会社の重要な競争力の一つになると確信しています。

激変する市場への対応と法規制、経営を動かすリーナー導入の真意

田中:組織編成を行う中で、経営視点から、調達改革はどのような位置づけの取り組みでしたか?

リーナーシステムの導入は、単なる業務効率化に留まらず、法改正への対応と、コロナ禍を経て激変した市場環境への適応という、非常に重要な経営判断に基づいています。

導入の意思決定における最大の要因は、下請法と電帳法への対応でした。これは費用対効果の問題ではなく、経営層にとってシステム導入を推進する大きなモチベーションでした。それに加えて、業務効率化が実現できれば良いという視点もありました。

厳格化する下請法と電子帳簿保存法

下請法と電子帳簿保存法という二つの法律の流れが大きく変わったタイミングでした。そして、最も意識しているのは厳格化された下請法です。数年前から、サプライヤー様と明確に合意を得て価格を決定することが強く求められるようになりました。しかし、実際の業務においては電話でのコミュニケーションもあるため、全ての記録を徹底できていない点もありました。

そこで、リーナーを導入することで業務の記録を残すことができます。こうした法的なリスクに対して安心できるという点が、導入の最も大きな動機となりました。

もちろん、効率化も重要なので効率化も進めつつ、下請法や電帳法への対応レベルを向上させたいと考えています。

また、ESGという観点では当然、環境負荷物質の問題と、人権への配慮もリーナーで確認し、安心して調達ができる体制をとっておきたいという観点もありました。

コストダウンから「値上げ」交渉へ、突入した調達の転換期

もう一つ、リーナー導入を後押しした大きな要因は、市場環境の劇的な変化、値上げです。以前は、営業部門が「定期値下げ」を持ってくるのが当たり前でした。私自身、この業界に何十年もいますが、毎年数パーセントのコストダウンを達成することが商習慣のようでしたし、当然、調達部門も同じ割合でサプライヤー様にコストダウンをお願いするのが当たり前の時代でした。

しかし、コロナ禍以降、この状況は一変しました。今や「値上げ」の方がはるかに大きくなっており、そのコストを社内で抱え込むことはできません。いかにこの値上げをスムーズに顧客に伝え、価格に転嫁できるかが、会社の存続に関わる喫緊の課題となっています。

このような背景から、調達と営業の関係性がこの数年間で全く変わってしまいました。外部環境の変化としては、下請法の厳格化もその一つですが、かつては考えられなかった「値上げ」交渉が日常となったことは、調達業務において最も大きな変化であり転換期に入ったのだなと感じています。以前であれば、サプライヤー様に対して「値上げ」という言葉を発することすらありませんでした。

真のDXはこれから、工数半減の先に描く部門間連携のシナジー

田中:リーナーの活用について、現状の評価と今後の展望をお聞かせください。

下請法や電子帳簿保存法への対応に関しては、それなりの効果を出せていると認識しています。しかし、もう少し厳しい目で現状を見ると、業務工数削減はまだまだ改善の余地があると考えています。例えば、工数削減が50%達成できたとしても、すぐにメンバーを半分にできるわけではありません。本当の意味で調達の工数が半分になる世界とは何かを、さらに突き詰めていく必要があると感じています。

「作業が楽になった」という声は聞かれますが、真の効果が出てくるのは、営業部門との連携、製品企画や原価企画との連携、さらには基幹のERPシステムとの連携など他部門と繋がった時だと考えています。そのシナジーをどう実現するのか、という点が今後の焦点になると考えています。

田中:今後の事業展開において、調達部門に期待する役割や機能の変化はどのようなものでしょうか?

最終的には、人と人との関係、そして共に何かを成し遂げるチームになることが非常に大切だと考えています。もし製造業の調達が、店に並んでいる商品やネットで手軽に買えるものを調達してきて製品を組み立てるだけでよいのであれば、調達部門は不要で、製品企画や設計部門が直接購入すれば事足ります。

しかし、調達の真価は、たとえ部品一つであっても、澤藤でしか買えないもの、澤藤のために特別に仕立ててくれるものを調達してくる能力にあると私は考えます。そして、特別に調達してきたものを「武器」として作った製品こそが、澤藤にしか作れないものとなり、大きな付加価値を生み出します。ここにこそ、企業の競争力を強化する上での調達部門の重要な役割があると思っています。

田中:下山様のお話から、調達部門の真の価値は、単なるコスト削減を超え、澤藤電機にしか生み出せない付加価値と競争力の源泉となることがよく理解できました。このビジョンを実現するために、「澤藤電機だからこそできる調達」として追求していきたいことは何でしょうか?

社内の部門だけでなく、サプライヤー様との連携も含め、やはり「繋がる」ということが大事だと思っています。
調達がその世界に閉じてしまうと、せっかくの仕事も非常に小さな価値にしかなりません。しかし、みんなが連携し、繋がった時にこそ大きな価値が生まれると信じています。だからこそ、どうすれば社外(サプライヤー様)や社内(他部門)との繋がりを強め、付加価値を創出できる事業へと変えていけるのか。 この「繋がる意識」をいかに醸成できるかを、追求していきたいです。


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