Leaner

「作業」からの脱却と情報のオープン化が拓く「組織戦」の調達DX〜データ共有で現場が自走し、「本来の調達」へと遂げた進化〜 

社名

株式会社北川鉄工所

従業員数

2,221 人(単体: 1,412 人)(2026年3月)

事業内容

工作機器、コンクリートプラント、環境設備、建設機械、立体駐車場、金属素形材、特殊工作機械、理化学機器

課題

・業務のアナログ・属人化と「個人商店」化
・手配「作業」への逼迫と「本来の調達」の停滞
・ガバナンスと管理プロセスの欠如

株式会社北川鉄工所 キタガワ グローバル ハンド カンパニーでは、調達業務の属人化やデータ不在、日々の手配作業に追われる「個人商店」化によって価格妥当性の判断ができない、またノウハウ喪失といった課題を抱えていました。

こうした課題を解消すべく、同社は調達プラットフォーム「リーナー」を導入しました。見積業務の標準化や社外とのやり取りの一元化を進め、さらには「図面AI」や「リーナーコネクト」の活用によって、全社的な情報のオープン化を推進しました。
「作業」から脱却し、全社で挑む「組織戦」と「本来の調達」へと進化を遂げた同社の調達DXの全貌に迫ります。

【本事例のポイント】
導入の背景:「個人商店」化や手配作業から脱却し、ノウハウ共有と「本来の調達」へ役割をシフト
選定の決め手:現場業務に合った「調達」特化のシステム
導入の成果:見積業務を劇的に効率化し、創出した時間で価格妥当性の追求と全社的な「組織戦」を実現

■お話を伺った方
株式会社北川鉄工所 キタガワ グローバル ハンド カンパニー

社長 松葉様
製造部 調達課 課長 大西様
製造部 調達課 係長 梅本様
製造部 生産2課 係長 信本様
製造部 調達課 加瀬部様


―まず最初に、リーナーをご活用いただいている調達部門の具体的な業務やミッションについて教えてください。

大西様:一般的な調達部門で求められる役割かと思いますが、主なミッションは「QCD(品質・コスト・納期)」の最適化です。

まずコストに関しては、コスト競争力の強化が強く求められています。単に個々の価格交渉力を高めるだけでなく、トータルでのコスト管理や、VA・VEといった提案・改善活動を通じて競争力を生み出すことです。

次に品質においては、仕入れ先の品質管理や製品立ち上げ時の初期流動管理、さらには量産移行における品質リスクの低減と品質保証を担っています。

そして納期・安定供給の面では、安定供給体制の構築が不可欠です。サプライチェーンのリスク管理をはじめ、複数社購買の推進や、業務における適切なリードタイムの設定などに取り組んでいます。

調達という業務はどうしてもコストが前面に出てしまいがちですが、納期や品質を疎かにしたコスト削減では意味がありません。また、不具合が起きると今度は品質だけに偏ってしまいがちですが、どれか1つに偏ることなく、QCD全体のバランスを常に最適に保ち続けることこそが、私たちのミッションになります。

調達部門が直面していた現場の限界と組織的リスク

情報が分散し属人化した調達業務。求められた「可視化」と「標準化」

―リーナー導入のきっかけとなった課題を教えてください。

信本様:当時の調達課は業務が非常にアナログで、見積依頼から回収もメール、電話、FAXなど担当者ごとに異なる方法で行われていました。そのため情報が一切まとまらず、価格の妥当性も判断できないまま、納期に追われて発注せざるを得ない状況でした。業務が完全に属人化しており、データも蓄積されないため「改善しようにもどこから手を付ければよいか分からない」状態です。

私自身、人事課から調達課へ異動してきたのですが、前任者の業務履歴が全く残っておらず、当時、手探りで業務を進めるしかありませんでした。担当者全員が同じ運用フローで見積を取得し、データを蓄積・比較することで、価格の妥当性をしっかり評価できる仕組みを作る必要があると考えていました。

大西様:当時は製品群ごとに担当が分かれていました。そのため1人の担当者が、特定の製品の材料調達から加工、表面処理、発注、納期管理まで、あらゆる業務を全部できるようにならないといけないような環境でした。 

その結果、担当者間の業務量に大きなばらつきが生じていました。日々、目の前の納期対応に追われてしまい、調達部門の根幹である「コスト削減」に着手できないことが大きな課題でした。

個人の裁量に潜む購買リスクと、データ不保持による将来への影響


―現場で生まれている課題に対して、マネジメント目線ではどのようなリスクや課題として捉えられていましたか?

大西様:一番の課題は、価格の決定権が各担当者に委ねられており、管理者側でガバナンスを効かせられていなかった点です。企業として対価を支払う重要業務であるにもかかわらず、管理が行き届かない状態は組織として大きなリスクだと捉えていました。

ただ、管理・承認プロセスを強化しようにも業務工数がかかりすぎるため、まずは業務効率化を図らなければ管理体制の構築すら難しいという課題もありました。

また、見積結果がデータとして蓄積・分析できない点も深刻でした。PDFファイルを共有フォルダに保存する程度の運用では、過去のデータを参照・分析することすら困難で、実質的にデータが残っていないのと同じ状態でした。

今後の調達活動において、見積結果だけでなく購買に関するノウハウを「データ」として蓄積・活用していくことは不可欠です。調達部門として適切にガバナンスを効かせられる環境を築き、組織的なノウハウを蓄積できる仕組みを作らなければならないと考えていました。

自社開発の「工数の壁」に直面し、現場主導で外部システム活用へ方針転換

―業務自体は現場の努力で回っていたのだと思いますが、システム導入や業務改革へ踏み出すきっかけやタイミングは何だったのでしょうか?

大西様:根底には「調達業務を改善したい」という強い思いがありました。私だけでなくDX担当者や、調達担当者も、課題感を持っていて、最初は数名で動きはじめました。
そこで、まず現場に実態をヒアリングしてみると、皆我慢して粛々と業務をこなしていたものの、実際には多くのやりづらさや課題を抱えていることが分かりました。そこから「調達業務を管理できる環境を作ろう」と、2年ほど話し合いを続けていました。

信本様:当時もシステムはあったのですが、サプライヤー情報が十分に蓄積できず、どういった特徴や実績がある企業なのかといった情報を残せていない課題がありました。
そのため、サプライヤー情報を管理できる機能や、チャットのように手軽にコミュニケーションを取れる仕組みが欲しいと考え、既存システムに足りない機能をどう補うかという構想を作っていました。

大西様:1〜2年ほど「こんな機能があれば良いよね」と自社でのシステム開発を構想していたのですが、DX部門の工数不足という壁によって開発を待っていた結果、止まりかけてしまいました。

それが「もしかしたら外部に理想的なシステムがあるのではないか」と考えを切り替えたタイミングでした。それまでは調達にフォーカスした展示会に行く機会は少なかったのですが、明確にシステムを探す目的で参加し、そこで最初に出会ったのがリーナーさんでした。

―導入までの検討についても、具体的に教えてください。

大西様:最初、提案が通らず壁ができてしまったのですが、「それならまずは自分たちのできる範囲で改善を始めよう」と、調達の業務フローの改善をスタートしました。

具体的には、取得した見積もりを必ず指定の場所に保管したり、発注書に「これはしっかり評価した案件だ」と分かるようにしたりと、アナログな手法ですが、業務フローの改善を粛々と進めていました。しかし、やはり手作業の運用だけではすぐに限界が来てしまいました。

信本様:アナログな運用ではどうしても行き詰まりを感じたため、「やはりシステムを導入したい」と改めて動きました。そのタイミングで、組織の再編があったこともあり上長からも賛同を得て、2025年4月からトライアルを開始することができました。

「作業」から「高付加価値業務」への一新、情報を会社の資産に変え、企業価値の向上に向けた経営判断

―会社として調達改革、またリーナーの導入をどのように捉えていますか?

属人化の排除と高付加価値シフト、人材流動化時代に勝つ組織基盤の構築

松葉様:昨年までさまざまな改善活動を進めていたのですが、その一環として業務棚卸しを行いました。

調達部門の業務を整理してみると、日々の手配や書類処理などの作業に追われており、本来注力すべき「サプライヤー様との交渉」「全体のコストマネジメント」「戦略的な調達の立案・実行」といった高付加価値な業務に十分な時間を割けていない実態がありました。属人化している業務処理をシステムによって効率化し、より付加価値の高い仕事へシフトさせていくことが、大きな目的にありました。

もう一つの理由は、働き方の見直しと組織の持続可能性です。昔ながらの属人的なルーティンワークばかりでは、若い社員のモチベーションも上がりません。また、産休・育休の取得やキャリアチェンジ(異動・転職)が当たり前になる今、「担当者がいなくなったら誰も業務が分からない」という状態は組織として非常にリスクが高いと感じていました。

情報を個人のものではなく会社の資産として蓄積し、誰でもシェア・引き継ぎができる仕組みを構築しなければと。今やらないと、どんどん遅れていくだけです。システムを活用して属人化を排除し、業務を標準化・共有化できる環境を整えることが不可欠だと考えていました。

「外に向かって仕事をする」ために、蓄積されたデータを徹底的に使い倒す

システムを導入・構築すること自体が目的ではありません。大切なのは「外に向かって仕事をする」こと、つまりお客様へのサービス向上や、サプライヤー様との円滑な取引のためにツールをいかに使い倒し、蓄積されたデータベースを会社の資産として活用するかです。

かつて営業部門で新しい仕組みを取り入れた際も、まずはExcelを用いた運用ルールを徹底的に定着させる下地作りを行いました。今回の調達部門においても、現場が課題感を持ってアナログな改善に愚直に取り組んできた「土台」があったからこそ、リーナーの導入がしっかりと現場に噛み合いました。

システム導入にあたっては様々な意見が出ますが、最後はリーダーがしっかりと決断を下し、現場とともにツールを使い倒していく姿勢が不可欠です。

段階的なロードマップで築いた運用の土台と、サプライヤーの巻き込みで進める調達改革

―実際にトライアルを実施してみていかがでしたか?

信本様:トライアルの際、リーナーのカスタマーサクセス担当の方から「いつまでに何ができるようになるべきか」という目標を、ステップ1、ステップ2、ステップ3と段階的なロードマップとしてご提案いただきました。

実際のトライアルでは、まずステップ1である「見積もり業務の効率化と標準化」。全員が統一されたフォーマットで見積もりを取得することをしっかりと達成できました。トライアルを通じて運用の土台を作ることができ、成功の手応えを得られたことで、無事に本契約へと進めることができました。

―実際に実務で運用してみていかがでしたか?

加瀬部様:運用を開始した当初は、社内というよりもサプライヤー様に多少の抵抗感がありました。しかし、ここは推し進めなければならない部分でしたので、丁寧な説明を重ねてご納得いただきました。

具体的には、「材料費と加工費を分けて記載していただければ、材料費の値上げが生じた際にも迅速に対応できます。双方にとってメリットのある仕組みですので、これからはリーナーを通したやり取りを基本とさせてください」と導入の目的も含めてしっかり説明しました。その結果、サプライヤー様も「それなら納得できる」とご理解くださり、スムーズにご協力いただけるようになりました。「今後はこのシステム経由での対応に一元化していく」という一貫した姿勢を社外に示し続けることも大切なポイントだと感じています。

―リーナーを活用して変わったことは何ですか?

見積比較の即時化とガバナンス構築がもたらした現場の変化

一番は、見積もり作成のスピード感が格段に上がり、過去の見積もりデータも一目で確認できるようになった点です。サプライヤー間の比較も一瞬でできるようになりました。

また、従来は見積もりの妥当性判断や「承認」プロセスが属人化しており、内容の正確性が分かりづらい側面がありました。システム上で正しい承認プロセスを経てから業務を進められるようになったことは、担当者としても非常に大きな安心感につながっています。承認の仕組み化も含め、業務プロセスの透明化と時間効率の向上は、本当に大きな変化だと感じています。

梅本様:システム上で複数のサプライヤー様へ一括依頼できるようになったことで、日々の業務が格段に楽になりました。以前は1社ずつ宛名やメールアドレスを入力して個別にメールを作成していましたが、その手間が一切なくなりました。回答も一画面でまとめて確認・比較できるため、大幅な業務時間の短縮につながっています。

本導入から1〜2ヶ月ほど経過した際、担当の7名を対象にアンケートを実施したところ、全員が「すでにリーナーがないと見積もり業務が成り立たない」と回答しました。メンバー全員が日々の業務において劇的な変化を実感していると感じています。

属人化した取引先の固定化を解消し、チームでサプライヤーに向き合う

―工数が削減できて生まれた時間で、どのような業務に取り組めるようになりましたか?

信本様:生まれた時間を活用して、課全体の管理や状況把握に注力できるようになりました。以前は各担当者が「個人商店」のように個別に活動しており、私も業務に追われていたのですが、課内の業務全体を俯瞰して見られるようになったことは非常に大きいです。

全体が可視化されたことで、「なぜこの案件で相見積もりを取っていないのか」「もっと見積先を増やせるのではないか」といった具体的な指摘やアドバイスができるようになりました。

以前は機種担当ごとに付き合いのあるサプライヤー様が固定化してしまい、「調達課全体」というよりも「個人」として取引しているような状態でした。ベテラン社員であっても意外な偏りがあることに気づくなど、組織としてサプライヤー様と向き合える環境へシフトできたことも大きな変化だと感じています。

業務のシステム化にとどまらないDXの本質、目的意識の共有が生んだチーム全体の意識改革

―マネジメント視点で見て、リーナー導入後に調達課というチーム全体にどのような変化があったかお伺いできますか?

「作業」から本来の「調達」へ。意識の変革が引き出した現場の自走力と組織の変化

大西様:業務時間が創出されたことが変化した要因として非常に大きいと考えているのですが、サプライヤー様と話す内容も変わってきました。単なる「作業」をこなす状態から、本来の「調達の仕事」をする方向へとシフトしており、見積もりの取り方ひとつをとっても変化を実感しています。

今までは「とりあえず1社から見積もりを取って発注する」「出てきた見積もりの中から一番安いところへ発注する」という流れ作業になりがちでした。しかし今では、「本当にこの価格で妥当なのか?」「もう少し交渉の余地があるのではないか?」と考える意識が芽生えており、それが相見積もり率の向上にも直結しています。

調達領域を超えた業務改善へ。「自分たちで変えられる」自発的なアクションが加速

見積もり以外の業務面でも大きな変化がありました。以前は「業務の進め方に課題がある」と感覚的に気づいていても、「こういうものだ」と諦めていた部分があったと思います。しかし最近では、リーナーとは直接関係のない業務、例えば「発注処理の負担が大きい」「適切な納期管理の仕方が分からない」「検収作業のやり方を見直したい」といった現場の課題に対しても、「何とか改善したい」という声が上がるようになってきました。チーム内に「課題を口に出していいんだ、自分たちで変えていっていいんだ」というポジティブな空気感が生まれています。

もちろん、これは単にシステムを入れたことだけが理由ではないかもしれません。導入にあたって「本来どういう働き方をすべきか」という目的を明確にし、メンバーがそれを理解した上で取り組み始めたことが、こうした意識の変化につながったのだと思います。

システムを活用していくにつれてマインドが変わり、本来時間を割くべきコア業務に注力できるようになりました。そして、その過程で気づいた課題に対して自発的にアクションを起こせるようになっています。もともとメンバーが持っていた潜在的な能力によるものですが、その能力を使えるようになり、組織全体の動きが変わっています。 

現場の業務基盤改革こそが経営戦略の鍵。「調達DX」から始まる強い組織づくり

―経営からご覧になって、リーナーの導入やシステム化によって調達にどのような成果が生まれていると感じられますか?

気合や根性に頼らない「戦略的PDCA」と若手が育つ組織とは?

松葉様:私自身は直接システムを操作する立場ではありませんが、現場の社員から「非常に使いやすい」という声が上がり、しっかりと成果に繋げてくれていることを実感しています。

大きな効果の一つは、社内での発信と戦略的なPDCAが回るようになったことです。現在では役員会や社内会議の場で、調達部門から「リーナーを活用してこれだけの業務改善を達成した」という成果報告が上がるようになりました。以前は日々の手配業務に追われるばかりでしたが、自ら戦略を立案し、実行・評価するサイクルが定着しています。

また調達に限らず、経営的な観点で見てもシステムによって業務プロセスを「可視化」する意義は極めて大きいです。特に、若手や新しいメンバーの働きやすさ向上、業務引き継ぎの円滑化に大きく貢献しています。どの職種であれ、かつてのような気合や根性、あるいは「特定の担当者しか情報を知らない」といった個人依存の運用は、人手不足が進む現代では成り立ちません。

情報のオープン化が「組織戦」を可能にし、チーム力を最大化する

例えば営業部門の取り組みでお話ししますと、現在当社では、若手社員が積極的に新規開拓へ挑み、ベテラン社員はインサイドワークや技術的フォロー、代理店管理といった後方支援を担う役割分担を進めています。若手の新しい挑戦に対して、技術部門や上司が全面的にバックアップする体制です。

この「組織戦」を成立させるために不可欠なのが、システム化による情報の共有です。新規開拓や技術提案を進める際、図面情報や過去の取引経緯がいかにスムーズに引き継がれるかが命綱になります。システム上に情報が一元管理されていれば、これまでの対応状況や顧客とのコネクションまでを、誰でも一目で把握できるようになります。

システム化の最大の意義はまさにここにあります。情報が属人化せずオープンになることで、国内の関連部署はもちろん、海外拠点からでも状況を正確に把握し、的確なサポートを行うことが可能になります。システムという情報の基盤があるからこそ、新人に手厚いフルサポートを提供し、組織が一丸となる「強い環境」が実現できるのです。

暗黙の努力を透明化し、企業の基盤を現場からアップデートする

数字という結果はもちろん重要ですが、システム上のデータを見れば、社員がどのようなプロセスで誠実に業務に取り組んでいるかが一目で分かります。裏でコツコツと重ねている正当な努力が見える化され、それが最終的にお客さまからの信頼や業績の向上に結びついていきます。

会社全体の経営戦略を強化していく上で、リーナーさんは「調達」という現場の重要拠点から改革を支えてくれています。会社全体を成長させるためには、このように各部門の業務基盤を一つひとつアップデートしていくことが不可欠だと確信しています。

「図面」と「購買データ」の統合から全社基盤へ。リーナーのプロダクト拡張がもたらす調達高度化と経営インパクト

―リーナーは見積もりだけでなく、「リーナーコネクト」や「図面AI」機能もご活用いただいておりますが、サプライヤー管理や図面データを活用した見積もりの高度化を推進する狙いについて教えてください。

技術と調達の連携が叶える、開発から量産への一元管理

松葉様:メーカーにとって「図面」は社内外のあらゆる業務における根幹であり、そのデータをどう管理・活用するかは事業上の最重要課題です。もともと技術部門が主体となり、他社ツールを含め2〜3社を対象に半年から1年ほど比較検討を重ねていました。最終的に技術部門と調達部門が連携し、リーナーの「図面AI」の導入を決定しました。

「図面AI」の採用の決め手となったのは、実務に即した柔軟性と機能性です。基本機能を網羅しているだけでなく、現場の運用ややりたいことに寄り添った設計になっており、図面解析のアプローチも技術担当者のニーズに非常にマッチしていました。

技術部門単体でツールを選ぶと開発寄りの仕様になりがちですが、私たちの目的は開発から量産へ繋げ、ものづくりを通じて収益を上げることです。すでに調達部門で「リーナー見積」を活用していたため、システムが統合されることで図面と購買履歴が一元管理できるメリットは大きいです。全体の投資対効果を踏まえても、リーナーの優位性が最も高いと判断しました。

引き継ぎ不全を防ぐサプライヤーマスターの構築と業務の効率化

大西様:「リーナーコネクト」の導入は調達主導で進めたのですが、一番解消したい課題は「サプライヤー様に関する基本情報が全く蓄積されていなかったこと」です。情報がないため、担当者が変わった際の業務の引き継ぎが全くできていませんでした。

例えば、異動担当者がサプライヤー様がどのような企業なのかという事前情報や引き継ぎを全く受けないまま、商談へ臨まざるを得ない状況でした。これは組織として非常に危険な状態であり、サプライヤー様のマスター情報を構築することは絶対に必須だと考えていました。

また、それに加えて、サプライヤー様へ含有物質調査などを依頼し、回答を回収する業務が非常に煩雑だったため、その効率化ができる機能が備わっていたことも導入を後押しする大きな要因でした。

根拠に基づく納得価格の交渉と、社外やり取りの一元化

加瀬部様:特に値上げ要請への対応業務において、コネクトを積極的に活用していきたいと考えています。提出していただくエビデンス資料の案内や、標準の申請フォーマットを作成しています。仕入れ先様に対して価格改定の明確な根拠を提出していただくことは、双方にとって納得感のある交渉を行う上で欠かせません。

こうした運用を少しずつシステム側へ組み込み、双方にとって負担がなくスムーズに進められるフローへ移行していこうと進めています。リーナーコネクトを活用すれば、メールを使わずに社外とのやり取りがシステム上に一元化され、非常にコミュニケーションを取りやすくなると感じています。今後さらに活用を深めていきたいです。

今後の展望:営業部門との情報連携と、カンパニー横断のコスト・QCD最適化

大西様:サプライヤー様のマスター情報を構築することは、調達部門にとどまらない全社的なメリットがあると感じています。我々のサプライヤー様は、見方を変えれば自社のお客様になり得るケースもあります。つまり、営業部門にとっても有益な顧客情報基盤になる可能性があり、単なる調達部門だけのシステム投資には留まりません。

加えて、当社には複数のカンパニーがあり、それぞれが独自のサプライヤー様を抱えています。これらを全社で統合して管理できるようになれば、「実は別のカンパニーでも同じサプライヤー様に発注していた」といった事実が見えてきます。そこからQCDのバランスを見直したり、全社ボリュームを活かしてコスト交渉を進めたりと、活用の可能性はどんどん広がっていくはずです。

目の前にある課題を解決するだけでなく、将来的な全社への波及効果やさらなる可能性への期待も込めて、活用の幅を広げています。

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