
シームレスな部門間連携で企業競争力を強化する、澤藤電機株式会社の調達DX


社名
澤藤電機株式会社
従業員数
719人(2025年3月31日現在)
事業内容
電装品・電子製品、発電機、冷蔵庫の製造
課題
・下請法への対応
・見積業務に多くの工数を要していた
・業務情報の蓄積と共有がスムーズにできなかった
澤藤電機株式会社は、「良い商品を造り、企業としての社会的責任を果たし、関係する全ての人に栄を与える」という経営理念のもと、電装品、発電機、冷蔵庫の3つの技術分野で事業を展開しています。特に24V系商用車向け電装品で国内市場をリードし、発電機は主に海外展開、車載用小型冷蔵庫では長年にわたりオーストラリアのアウトドア市場に展開、商用車の電動化製品開発にも注力しています。
そんな澤藤電機株式会社の調達部に、今回「リーナー」が導入されました。リーナーを導入した狙いや、具体的な効果について詳しく伺いました。
■お話を伺った方
澤藤電機株式会社
代表取締役社長 下山 様
調達部 部長 中野 様
調達部 調達管理課 課長 相澤 様
調達部 調達一課 課長 平方 様
調達部 調達一課 小澤 様
ー最初に、御社の事業内容を教えてください。
中野様:澤藤電機株式会社は、1908年(明治41年)に澤藤電機工業所として創業し、1934年に現在の社名となりました。今期で91年になります。主な事業内容は、商用車・建設機械・船外機用の電装機器、ガソリン・ディーゼルエンジンを使用した発電機、ポータブル冷凍冷蔵庫の3つです。これらの製品の企画から開発、製造、販売まで一貫して行っています。
ー調達部門の組織体制、また日々の業務ミッションについて教えてください。
中野様:調達部は現在26名で、本部長、副本部長を含めると28名体制です。現在3つの課があり、調達管理課は調達部の運営、全般のコントロールセンターとしての役割を担っています。その他に調達一課と調達二課があります。
調達部のミッションとしては、「最適仕様の部品を、競争力のある信頼できるサプライヤー様から安定的に調達すること」です。また、新製品の原価企画、コスト目標達成に向けた改善活動、現在生産している流動製品の競争力を維持向上させるための原価低減活動を継続的に行い、会社の利益拡大に貢献することを使命としています。

今年4月の組織変更で、「事業推進本部」というプロフィットセンターを新設しました。 この本部は、収益向上に責任を持つ部門として、さらなる強化を図っています。事業推進本部の中には、利益を担う部門として営業、調達、製品企画、原価企画といった部門が同じ本部に入り、密接に連携して業務を進める体制となりました。
ーリーナーの導入前、どのような課題がありましたか?
相澤様:まず、ソーシング業務、特に見積もり依頼に工数の約25%を費やしていたことが大きな課題でした。さらに、業務の可視化が不十分だったことも挙げられます。
サプライヤー様の選定経緯や交渉履歴は、メールなどの個人管理になっており、業務情報として蓄積されていませんでした。サプライヤー選定に統一されたルールがなかったため、担当者によって進め方が異なったり、電話での交渉が中心になったりすることも珍しくありませんでした。これにより、途中のプロセスだけでなく、案件の進捗確認もメールや口頭での共有が主となり、上司がタイムリーに状況を把握できないという問題が生じていました。
平方様:最終的に決まった製品の見積書はデータとして残っているものの、決定に至るまでのプロセスが不明瞭でした。 どこに見積依頼をしたのか、なぜこの数字になったのかといった計算根拠や交渉経緯は、当時の担当者にしかわからないことが多く、 結果として担当者が変わる時の引き継ぎが大変でした。
小澤様:これまで、交渉内容について議事録として記録、保管をしていましたが、交渉ごとの記録となるため、1案件を一連の交渉の流れとして振り返るために、過去の議事録をまとめる作業が大変でした。
また、サプライヤー様とのコミュニケーションはメールや電話であるため、必要な時に情報がすぐに出てこない、案件担当者がいないと内容の確認ができないという点も改善が必要なところでした。
ー見積業務の改革に取り組みを始めた背景、リーナー導入の理由を教えてください。
相澤様:調達部門では常に適切な人員配置が求められていました。そこで、基幹システムの更新やRPA導入といったDX化を通じて業務効率化を図っていたことに加え、下請法への対応も大きなきっかけとなり、今回の改革に取り組みました。
リーナーを活用する一番のメリットは、サプライヤーとの交渉履歴や経緯といった業務情報を案件ごとに残せること、そして見積もり依頼や比較表作成といったソーシング業務にかかる時間を削減できる点だと捉えていました。

とはいえ、正直なところ、最初は新しいツールへの抵抗感があり、なかなかスムーズに受け入れられない感覚もありました。しかし、リーナーのご担当者の方にどんどん前に進めていただいたこと、また社内でDX化を進め、工数削減の必要性が高まっていたことが、この取り組みを進める後押しとなりました。
下山様:最終的な決定はリーナーさんと打ち合わせを重ね、導入1年目から期待していた工数低減が見込めることを含め、費用回収もできると判断したことです。
また、他社様もリーナーのシステムを利用している情報があったので、安心して使えると思いました。
ーリーナーの活用を通して生まれた効果を教えてください。
相澤様:リーナーの導入により、見積もり業務の工数を目標通り50%削減できました。これは、見積もり依頼や回収作業の自動化、そして見積もり比較表作成にかかる手間が削減できたことによるものです。リーナーを活用することで、複数のサプライヤーへ同時に相見積もりを依頼し、その回答状況を一元的に管理できるようになりました。この手軽さから、これまであまり取引のなかったサプライヤーへの依頼実施にも繋がっています。
さらに、業務の効率化だけでなく、見積もり依頼における必要情報の項目がテンプレート化されたことで、展開情報が統一され、ベテランと若手担当者間での業務品質のばらつきも解消されました。
小澤様:サプライヤー様へのフォローが自動化されたことで、見積もりリードタイムの短縮にも繋がっていると感じています。リーナーの画面上で情報のやり取りがより密に、かつ迅速に行えるようになった結果、サプライヤー様も情報の確認や対応がスムーズになり、レスポンスが早くなったように感じます。
平方様:コミュニケーション面では、チャット機能が非常に便利です。担当者とサプライヤー様だけでなく、社内の関係者や上司も途中で案件メンバーとして参加し、質問や指示出しができるようになりました。これらのやり取りは半永久的に残り、業務のスムーズな進行にも繋がっています。

ー情報の蓄積という点での効果はどう感じられていますか?
平方様:リーナー導入後、業務が格段にやりやすくなりました。一番効果を感じているのは、情報連携が容易になった点です。案件の主担当でなくてもメンバーに追加すれば、いつ、どのような内容で見積回答があったか共有できるので、関係者間のコミュニケーションが密になり、業務がスムーズに進むようになりました。担当者が不在の場合でも見積進捗や回答状況を確認できるため、状況把握や引き継ぎが簡単になりました。
従来はメールのCCなどに入れて共有をしていましたが、管理しづらかったのが正直なところです。リーナーであれば、必要なタイミングでメンバーを追加して依頼ができるので使い勝手が良くとても業務がやりやすくなっています。
以前のメールベースでのコミュニケーションや案件の進め方では、必要な情報を探すのに時間がかかっていました。しかし、リーナーを導入したことで、見たい情報をすぐに検索できるようになり非常に便利です。情報がオープンになったことで、検索性も向上しました。
さらに、チャット機能を活用するようになった結果、電話でのやり取りが減り、平均的な電話代も下がっている感覚があります。

見積依頼以外にも、サプライヤーに対する各種調査依頼などを一括で展開し、回答を効率的に収集できるといったメリットも感じています。
相澤様:内部監査部門から電帳法対応として見積書が自動で保存される点を評価されました。指定フォルダへの手動保存がルール化されていましたが、手間がかかるうえ誤記や抜け漏れの可能性も否定できないため、「自動保存機能は電帳法遵守の上で安心」という声がありました。
また、設計部からは、別のシステムで飛んでくる見積もり依頼情報とリーナーを連携できないかという要望も出ており、社内での活用範囲拡大への期待も感じています。
中野様:リーナーの活用を通して、これまで案件担当者に閉じていた情報がオープンになったことは、大きな変化だと感じています。以前は報告内容に対してフィードバックしたり、直接コミュニケーションを取って橋渡しをしたりすることもありましたが、リーナーの利用でコミュニケーションが効率的になりました。
ーサプライヤー様からの反応はいかがでしたか?
相澤様:リーナー導入当初、一番不安だったのはサプライヤー様がシステムを使ってくれるかどうかでした。しかし、導入前にリーナーさんが主導でサプライヤー様向け説明会を実施していただいたり、問い合わせに直接対応していただいたりと、手厚いサポートがあったおかげでスムーズに進めることができました。
小澤様:実際にリーナーを使ってもらうと、サプライヤー様からは「非常にスムーズで便利になった」という声が上がっています。一方で、従来のメールに慣れていたり、新しいシステムへの抵抗感があるサプライヤー様からは、「どちらを使えばいいか分からない」といった声も一部で聞かれました。まだ不慣れな方もいらっしゃるかもしれませんが、基本的にはリーナーでのやり取りをお願いしており、徐々に利用率も高まっています。
ーリーナーを活用して今後実現したことを教えてください。
下山様:今後は部門間の連携をさらに強化し、会社全体の競争力を高めていきたいと考えています。具体的には、設計部門が使用しているPLM(製品ライフサイクル管理)システムとの連携を進め、設計部門が見積もり依頼情報を作成すれば、それが自動でリーナーに連携され、調達部門はそのデータに基づいて見積もり依頼を出せるような自動化を進めていきたいです。

また、これからは営業と調達を密接に連携させる時代に入ったと考えています。調達側で値上げ情報が入ってきた際に、それが速やかに営業システムに連携され、値上げ交渉に活かせるような仕組みも必要です。
これまで、社内の各組織はそれぞれが独立して動いていました。しかし、調達が「買う」だけ、営業が「売る」だけの業務に終始していては、これからの企業が利益を上げていくことは難しいでしょう。
部門間の業務をシームレスにするため、システムとしてどのように連携させるかが今後の課題です。事業推進本部として横の連携を強化するとともに、リーナーさんには、その連携をさらに進化させるための支援を期待しています。