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新たな価値を生む「時間」を創る。中島大祥堂が「畑や工場へ足を運ぶ」バイヤーへと転換できた理由 

社名

株式会社 中島大祥堂

従業員数

200名(正社員)

事業内容

和洋菓子の製造販売、及び店舗経営
・ギフト商品の卸
・OEM製造
・バラ売り商品の量販店への卸
・直営販売店での小売り

課題

・値上げ対応における事務負担
・上流工程との「情報の分断」
・ガバナンスのリスク対策

株式会社中島大祥堂様は、1912年(大正元年)創業、大阪府八尾市に本社を構え、「一番大切な人に食べてもらうお菓子づくり」を理念に、和洋菓子の製造・販売を行っています。ギフト菓子を取り扱う「Hitotoe」、一般流通向けブランド「DANKE」、丹波の栗や黒豆など素材を活かした和洋菓子ブランド「中島大祥堂」など、様々なブランドを展開しています。
「中島大祥堂」は丹波の実り豊かな素材にこだわったブランドとして栗・黒豆・大納言小豆など、丹波の風土が育んだ食材を丁寧に生かし、素朴で上質な美味しさに仕立てています。兵庫県丹波市の「丹波本店」を旗艦店とし、大阪では淀屋橋店をはじめ、府内に5店舗を展開しています。

この度、原材料価格の高騰や、属人化していた業務という課題を乗り越えるべく導入されたのが、見積管理プラットフォーム「リーナー」です。単なるコスト削減に留まらず、自社農園を持つ強みを活かした「一次加工の内製化」や、現場の知見を最大化する「バイヤーへの転換」をいかに実現したのか。詳しくお話を伺いました。

■お話を伺った方
株式会社中島大祥堂 生産本部 購買部
部長 重松 様
課長代理 濵平 様
チームリーダー 工藤 様


ーまず最初に御社の事業内容について教えてください。

重松様:弊社は1912年に創業し、現在は大阪府八尾市に本社を構えております。「一番大切な人に食べてもらうお菓子づくり」という理念を掲げ、和洋菓子の製造・販売を行っています。

素材へのこだわりを支える「自社農園」と調達の裏側

重松様:弊社の大きな特徴の一つは、兵庫県丹波市で自社農園「中島大祥堂 丹波 夢農園」を運営していることです。私はその農園長も務めており、栽培管理はもちろん、この農園から収穫される栗などの高品質な素材を「調達」するという重要な役割も担っています。

ー調達のミッションや日々の業務内容について教えてください。

重松様:調達として、原料や資材を適切な価格、品質で購買しています。その中で、今私たちが最も大切にしているのは、単に安く仕入れることや、原価を抑えるためだけの調達ではなく、「お客様にいかに高い価値をお届けするか」ということを、今は一番重視しています。
そのために、これまでになかった新しい取り組みも様々と始めているところです。

ー具体的にどのような取り組みを始めたのでしょうか?

重松様:まず「加工品を仕入れる」というこれまでの当たり前を見直し、原材料から自分たちで調達する体制に踏み込みました。

具体的には、私たちが直接農家さんのもとへ足を運び、直接対話し、最高の素材を確保します。その上で、全国各地の「その素材の加工に長けたメーカー様」へと繋いでいます。加工工程においても、「どのメーカーなら最も品質を高められるか」「コストをいかに最適化できるか」を見極め、選定や交渉を行っています。

さらに、社内のグループ会社(相互製あん)と連携した自社加工も始めました。自分たちで工程を管理することで、圧倒的に「味」が良くなるんです。

工藤様:自社で加工を手がけることで、味のコントロールもしやすくなります。天然の原材料には多少のバラつきがでますが、例えば工場の工程で水分量を微調整するなど、その時々に合わせた最適な対応ができるようになります。また私自身、実際に畑や製造設備へ足を運び、そこで得た知見を次の商品開発に活かせるよう動いています。

重松様:購買業務に留まらず、工程や設備まで実際に見に行き、工場と協力して品質を作り込む。まさに「バイヤー」としての領域に踏み込んでいます。

内製化の範囲を広げることは、商品の付加価値を高めるだけでなく、社内利益の創出にも直結します。そして何より、こうした新しい活動に挑戦できるようになったのは、リーナーを導入したことで「新しい活動に充てる時間」が生まれたからこそです。

こうした「私たちにしかできない仕事」に注力できれば、仕事としてもより楽しくなっていくだろうなと感じています。さらに活動の幅を広げていくためにも、事務的な見積りの定型業務はリーナーのようなシステムに任せ、よりクリエイティブで戦略的な調達を強化していく。それが、より良いお菓子づくりへの貢献に繋がると考えています。

調達DXの目的は「新しい価値」を生む時間の創出

ーリーナー導入の目的を教えてください。

重松様:導入の目的は、一言で言えば「限りある時間をより本質的な業務に充てたい」ということです。単に見積もりをスムーズに取りたいということだけではなく、その先にある「新しい価値を作り出す仕事」に注力できる環境を整えたかったんです。
事務的な作業に追われるのではなく、未来を見据えた戦略的な調達をしていきたい。目的としては、そこが一番大きいですね。

ー「事務的な作業に追われていた」とのことですが、具体的にどのような業務課題を感じていたのでしょうか?

濵平様:以前は、誰がどこから何の見積りを取り、購買に至ったのかというプロセスが、組織として全く見えていませんでした。いわば「個人商店」の集まりのような状態で、担当者ごとにメーカー選定の方法も、社内共有の方法もバラバラ。そのため、共有されていない情報を探りながら、どこか「空気感」で仕事を進めてしまっているような感覚がありました。

工藤様:見積もり取得や管理業務の手間は相当なものでした。弊社には「複数社から見積もりを取る」というルールがあり、毎回各メーカー様へ個別にメールを送り、進捗管理もすべて手作業。そのやり取りだけで膨大な時間を費やしていたことも課題でした。

加えて、価格交渉の経緯や仕様変更の理由といった「交渉履歴」が、完全にブラックボックス化していました。やり取りの多くが個人のメールや電話で行われていたため、なぜその価格に決定したのか、仕様変更の経緯など情報が社内に残っていないので、次に活かせないという課題を抱えていました。

不透明なプロセスはリスク。「社員を守る」ための可視化とコンプライアンスの強化

ーマネジメント視点で、これらの課題をどのように捉えていましたか?

重松様:交渉履歴がブラックボックス化し、やり取りのプロセスが見えないことは、会社にとって大きなリスクだと捉えていました。

例えば、意図せずとも「取適法」に抵触するような不適切な交渉が行われてしまう懸念はあります。情報をオープンにし、万が一不適切な芽があればすぐに修正できる環境を整えることは、コンプライアンスの観点から不可欠です。

業務が不透明な環境下では、不正を招くリスクをゼロにはできません。プロセスを可視化することは、「健全なプロセスで仕事をしている」という証跡を残すことであり、結果として社員自身を守ることに繋がるため、改善を急ぐべき課題だと捉えていました。

「決まった後に下りてくる購買依頼」から脱却。調達の介在価値を最大化する仕組みづくり

ー調達改革に踏み切ったきっかけを教えてください。

重松様:当時は、今以上に原材料の値上げが激しい時期で、限られた人数でその価格改定の処理に追われ、事務作業だけで一日が終わってしまうような状態でした。

そして個人の力で業務をこなしてもらっていた側面も大きく、購買という仕事のあり方自体に難しさを感じていました。

また、新規の案件はまず開発やマーケティング部門が主導して材料や資材を決めるため、購買に話が下りてくる頃にはすでに仕入先も条件も決まっていることが多かったんです。いわば、開いている「蛇口」を、後から止めることができないような状態。決まった相手に対して、限られた価格交渉をすることしかできない状況に強い問題を感じていました。

こうした情報のブラックボックス化やアナログ業務の非効率を解消するのはもちろん、新規の発注先が決まる前の段階で「ここも相見積もりを取ってみませんか」と購買からアドバイスができるような仕組みを構築したい。そう考え、改革に踏み切りました。

「世の中のすべてがこうなればいい」サプライヤー登録率90%超を実現した、圧倒的な使いやすさと手厚いサポート

ーリーナーの導入、活用において社内での反応はどうでしたか?

重松様:マーケティング部門や開発部門などは、こちらから案内をすれば皆積極的に使ってくれました。今はもう、こちらが言わずとも自らリーナーを使って見積もりを取れるようになっていますし、非常にスムーズな運用ができています。

先ほどお話しした通り、私たち自身も大幅な時間の短縮ができているので本当に助かっています。

経営視点では、システム導入など新しい試みは判断が難しい部分もありますが、「本当にこれをやりたい」「新しいことに挑戦してみよう」というチャレンジ精神に対しては投資をしてくれる会社ですので、そこがうまく噛み合いました。

濵平様:開発現場には若い世代も多いのですが、そうした若いスタッフたちにとっても、直感的に見積もりが取りやすいシステムであることは大きなメリットです。新しいツールをすぐに使いこなし、現場に浸透していくスピードの速さを実感しています。

ーサプライヤー様を巻き込むという点において、懸念はありませんでしたか?

工藤様:アナログなやり取りに慣れているサプライヤー様もいらっしゃるので、最初は「少し難しいかもしれないな」とは思いました。ただ、いざ始めてみると意外なほどスムーズで、皆様しっかりと対応してくださっています。

重松様:その「スムーズさ」こそが、まさにリーナーさんの強みだと感じています。導入にあたって、サプライヤー様へのフォローを徹底してくださり、実際に90数パーセントという高い登録率まで引き上げた状態で、私たちが運用できる環境を整えてくれました。この手厚いサポートには本当に助けられましたね。

システム自体も非常にシンプルで見やすいため、サプライヤー様側も使いやすいのだと思います。これまではメールで行っていたやり取りが、今ではチャット感覚でスピーディーに完結できる。その手軽さが、レスポンスの早さにも繋がっているのではないかと思います。
あまりに便利なので、「世の中の見積もりがすべてリーナーになれば最高やな」と、いつも皆で話しているんですよ。

業務工数を半減し、煩雑な事務作業から解放。生まれた時間で「次の一手」を考える調達組織へ。


ー実務においてリーナーを利用することの効果や感じられている変化はありましたか?

濵平様:資材の分野では、原材料価格が上がり続けていた時期に、新しいメーカーの開拓や切り替えをスピーディーに積み重ねることで、値上げ分をほぼすべて吸収することができました。

もちろん、適正価格の限界まで突き詰めれば、さらなるコスト改善が難しくなる局面もあります。しかし、重要なのは状況が可視化されていることで「次の一手としてどんなアプローチができるか」を考えられるようになったことです。

最近では、単に箱にお金をかけるだけでなく「ゴミがかさばらず、捨てやすい」といった環境への配慮も重要視しています。贈答用としての品格は保ちつつ、環境負荷を抑えた資材を選ぶ。そうした企業活動は、今の時代に不可欠なものです。

コストを抑えて品質を担保し、その分をお客様に価格として還元していく。リーナーで見積依頼や比較、管理が効率化されたことで、こうした「今の時代に合った最適な動き方」を考え、そして動くことができる時間が生まれた。それが、何よりの効果だと感じています。

工藤様:以前は、新規の案件は大体、開発やマーケティング担当者が資材や原料を選定しており、仕入先が決まった段階で私たちのところに情報が下りてくるという流れでした。そして、いざメーカーさんとお話ししても、「これ、いつから使うんですか?」など、基本的な情報確認が必要なことが多々ありました。

リーナーでは見積もりのテンプレートに沿って依頼を行うため、「いつ、何を、どれくらい必要か」など基本情報が揃った状態で商談を始められます。そのおかげで会話の質が劇的に変わり、最初から詳細な仕様のすり合わせといった「本題」からスタートできるようになりました。
最初から本題についてコミュニケーションがとれることでスピード感と精度の向上につながり、本当に助かっています。

濵平様:見積書の管理や保存といった作業も、以前は本当に手間がかかっていました。紙でいただくことも多く、データでいただいても、それをPDF化して規定の場所に保存し直すという作業がすごく面倒でした。

特に今は値上がりも多く、対象となる品目も膨大です。それを毎回、ファイル名を変更して整理するというのはあまりに煩雑で、正直に言えば、保存し忘れてしまうこともありました。
今はもう、そんなことをしなくてもシステムの中に勝手に残っていきます。マーケティングや開発の担当者が取った見積もりでも、すぐに見に行けます。

また保存に関しても、以前は不採用になった規格などは残していなかったのですが、今はそれらもすべて履歴として残ります。「あの時はこうだったな」と過去の経緯を参考にできるのも、大きなメリットだと感じています。

ー全体的な業務工数はどれくらい削減されましたか?

濵平様:感覚的には、業務工数の半分以上は削減されていると思います。

特に、比較資料を作成する手間がほとんどなくなりました。以前は手作業で数値をまとめていましたが、今はシステム上でパッと横並びにして、どこが安いのかがすぐに分かります。自分で資料を作る必要がなくなったのは本当に大きいです。しっかり成果が出ていると感じます。

戦略的な調達を支える新たな仕組みづくりへ。拠点の垣根を越え、組織全体で最適解を導き出す体制を目指す

ー今後リーナーをどう活用していきたいですか?

工藤様:「時間の削減」のお話をしてきましたが、今後は「リスクヘッジ」の面でも活用していきたいと考えています。開発担当者を含め、取得する見積もりに対して、「この条件にはリスクがある」「ここは避けるべき」といった判断を、採用される前の段階で事前に共有できる体制を整えたいですね。早い段階でリスクを可視化し、より安全で確実な調達に繋げていきたいです。

重松様:単に一斉見積もりを取って価格で決めるのではなく、「この原料を使ってみてはどうか」「この資材ならもっと良くなる」といった、調達のプロとしての知見を活かした提案ができる体制を目指したいと考えています。

また、活用の幅を工場にも広げていきたいと考えています。現状、どうしても「長年の付き合いだから」という理由で、特定の取引先に発注し続けているケースが少なくありません。

「大阪工場で仕入れているここが安いな」とか「あっちの工場ではこういう比較検討をしているんだな」といった情報が共有されれば、全員の知見が広がります。そうして、組織全体で常に最適な判断ができるような一歩進んだ使い方をしていきたいです。


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