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情報がオープンな組織が生んだ「正しく買う意識」〜属人化を脱し、調達を「誰もが挑戦できる領域」へ〜

社名

株式会社フカガワ

従業員数

644名(2025年3月現在)

事業内容

空調ダクト成型機器の製造・販売及び、空調工事関連部材の製造・販売

課題

・急激な環境変化への対応限界
・拠点分散による「価格のバラつき」とガバナンスの欠如
・属人化とアナログ管理による「情報のブラックボックス化」

1960年の創業以来、空調ダクト成型機器および関連部材の製造・販売を展開する株式会社フカガワ。「社会のお役に立つ」というミッションのもと、成型機器メーカーとして全国トップシェアを誇るとともに、関連部材の商社機能も併せ持つ、ダクト業界のリーディングカンパニーです。

同社がさらなる成長を見据えて取り組んだのが、見積プラットフォーム「リーナー」の導入による調達基盤の強化でした。今回、導入の背景にある想いや、次世代の調達組織へと進化を遂げる同社の挑戦について詳しくお話を伺いました。


■お話を伺った方
株式会社フカガワ
代表取締役社長 深川 様
製造本部長 購買管理部長(取材当時、現 常勤監査役) 原田 様
購買管理部 課長 滝井 様
購買管理部 係長 平野 様


ーはじめに御社の事業について教えてください。

滝井様:株式会社フカガワは、1960年に創業し、創業当初は小型で安価な高速自動ハゼ折機械の製造・販売から始まりました。その後、空調ダクト工事業界を中心に現場や工場の効率化を支える機械や製品を開発してきました。現在は国内に35拠点、海外はタイに1拠点を構え、合計36拠点で事業を展開しています。

ここ数年は、空調ダクト工事業界のデジタル化にも貢献したいという思いから、主に営業部門を中心に業界初のBtoBのECサイトを自社で開発したり、お客様の工場のスマート化を支援するSaaSも開発中であるなど、デジタル技術を活用した取り組みにも力を入れています。 

ー購買管理部では、日頃どのような業務を担っているのでしょうか。

滝井様:私の所属する購買管理部では製造部門で使う材料の調達をはじめ、営業部門で販売する商品の仕入れや改良、さらには新商品の開発にも深く関わっています。

また、サプライヤー様の新規開拓や海外サプライヤーへの発注・やり取りも行いながら事業所の在庫管理に近いことも含め、ちょっと欲張りなくらい、幅広くやらせていただいてます。 「より良いものづくり」と「安定供給の仕組み」を実現するため、メンバー全員で協力しながら、日々さまざまな業務に取り組んでいます。

属人化という経営リスクを排し、サプライヤーと共に未来を創る「オープンな調達組織」への転換

ー調達DXに着手されたきっかけを教えてください。

滝井様:一番のきっかけは、会社から求められるガバナンスの強化や、コンプライアンスに関する要請が非常に高度化してきたことです。

現場の営業サイドからは「より良いものを新しく作りたい」「既存の商品を改良したい」といった要望が絶えません。各部門から寄せられる声はどれも「ごもっとも」なことばかりで、そうした多様なニーズが複雑に入り混じっているタイミングだと感じていました。

また、昨今の下請法をはじめとする法令遵守の重要性が増す中で、サプライヤー様とのやり取りにおいても、これまで以上に高い透明性を持つべきだという意識が強くなっています。

さらに追い打ちをかけるように、長年お付き合いのあったサプライヤー様が後継者不在により廃業されるといった事態も発生しました。こうした経験から、サプライヤー様の状況を正しく把握し、個人の繋がりではなく組織として管理していくことが不可欠だと強く実感したのです。

深川様:「調達」は価格競争力を高めてトップラインを押し上げるだけでなく、利益創出に直結します。また、良いサプライヤーとの良い関係性の構築は競争優位性の源泉の一つです。しかしながら、当社の調達は全国の営業所・工場で行われており、仕入先も多く、拠点ごとに購入判断が分散しやすい構造でした。その結果、価格や交渉プロセスが見えにくく、属人化や価格のばらつきが課題となっていました。

また近年はコンプライアンスの観点からも、調達の透明性と説明可能性を高める必要があり、経営として調達統制の再構築が求められていました。

属人化とアナログ管理が招く「情報のブラックボックス化」が課題に

ー当時の調達業務において、解決すべき課題は何だったのでしょうか。

「個人商店」化していた業務と、異動者が直面した情報量の壁

原田様:課題の最大の要因は、やはり「属人化」でした。もともと私ともう1名の購買担当の2人で回しており、その後、滝井が加わって人数こそ増えたものの、どうしても「この領域はこの人に任せきり」という状態が続いていました。材料関係は誰、部品関係は誰、といった形で担当を分けていたのですが、そうなると管理がどうしても「個人の範疇」に留まってしまいます。

「どこで買ったか」は分かっても「なぜ選んだか」が見えない。アナログ管理が生む情報のタイムラグ

原田様:これまでは基幹システムの購入履歴を基に発注業務を行っていましたが、そこで確認できるのはあくまで「過去の確定データ」です。請求が確定した後の数字なので、どうしても1ヶ月前の情報になってしまう。直近の市場の動きや現場の状況がリアルタイムで見えないことにもどかしさを感じていました。

滝井様:そして基幹システムに残っている情報は、あくまで「どこから何を買ったか」という結果だけです。その結論に至るまでのプロセス、「なぜこのサプライヤー様を選び、どのような交渉を経てこの価格になったのか」という経緯は、すべてキャビネットの中のファイルに綴じられていました。扱う商材が増えればファイルも増える。とても大変な作業でした。

組織統合による業務の急増と、属人化が招く「組織のリスク」

原田様:さらに大きな変化として起きたのが、組織統合による業務範囲の急拡大でした。もともと別部署が担当していた輸入製品の調達なども含め、「仕入れに関わることはすべて購買管理部に集約しよう」という全社的な方針が決まったのです。その結果、私たちの部署の業務量は文字通り「ドカーン」と一気に膨れ上がりました。

「このまま仕組みを変えずに個人の頑張りだけで続けていけば、現場の負荷は高まり続け、いつか誰かが体調を崩して倒れてしまうのではないか。」そういった、危機感も抱いていました。

バラバラな拠点のやり取りを一元化する「唯一無二のインフラ」

ーリーナーを導入した経緯について教えてください。

滝井様:社内の組織編成のタイミングで会社から「全国の製造拠点も含めて、どうやってものを購入しているのか見てほしい」というミッションを受けました。

正直なところ、最初は「各拠点の担当者が見積依頼をする際、メールのCCに私を入れてもらう」くらいの方法しか思いつきませんでした。しかし、実際に始めてみるとすぐに「これは物理的に管理しきれない」と限界を悟りました。もっと抜本的に仕組みそのものを変えなければ駄目だと痛感しました。

そんな時、展示会でリーナーを知ったのです。当時は他に似たようなサービスも本当になかったですし、まさに「ドンピシャ」でした。

相見積もり率は25%向上。拠点間の「情報の分断」を解消し、適正価格の判断が可能に

ーリーナーを導入したことで、どのような効果や変化がありましたか?

原田様:まず大きな効果として挙げられるのは、業務工数の大幅な削減です。私自身もリーナーで各拠点の状況を確認しますが、とにかく「判断のしやすさ」が最大のメリットだと感じています。

これまではバラバラだった情報が、一覧画面に集約され、各社の回答が横並びで表示されるため、金額の差がひと目で分かります。また、見積回答に付随する細かなコメントなど、決定に至るプロセスも可視化されました。

価格と経緯を、シンプルかつ詳細に把握できるようになったことで、見積業務そのものの精度とスピードが上がり、結果として相見積もりの実施率は昨年比で25%向上しました。

「安さ」の追求から「正しさ」の証明へ。データが変えた調達組織のあり方

滝井様:リーナーで全体を通した取引状況が見えるようになったことで、バイヤーの役割が自然と集約されていく感覚があります。これまでは全国の拠点でバラバラに購入されていた消耗品やテープ類も、実はメーカーが複数入り混じっていたりと、思っていた以上に「整理できる余地」があることに気づかされました。

こうしたデータが見えるようになったことで、商品の統一や購入の集約化といった、一歩先のコントロールが可能になりました。単なる値引き交渉のためだけではなく、「無駄を減らして正しく買う」という意識に組織全体が変わってきたと感じています。

平野様:私が感じたのは、「今の金額が本当に妥当なのか」を証明できる安心感です。その価格が高いのか安いのかが「わからない」という状況が解消され、取引先が最適であることを客観的に証明できる。これは、調達担当者にとって非常に大きな意義があります。

「ベテラン頼み」からの脱却「特別な人の仕事」を誰もが挑戦できる領域へ

平野様:リーナーを導入したことで、業務のハードルは劇的に下がりました。例えば小さな部品一つをとっても、過去の経緯をリーナーで検索すれば「あ、ここに頼めばいいんだ」という正解がすぐに分かります。操作性も非常に直感的で、誰でもすぐに使いこなせます。

原田様:以前のやり方では、調達は深い商品知識や長年の経験がなければ務まらない職種でした。何かあれば「あのベテランに頼まなければ進まない」という閉鎖的な雰囲気もありました。

見積業務ひとつをとっても、ベテランから引き継ぐだけで膨大な時間がかかりますし、実務に入った後も、依頼件数が増えるたびにルールの再確認やExcelでの集計といった「見えないコスト」が大きくのしかかっていました。

かつてはベテランが抱え込んでいた見積業務を、今では入社間もない事務スタッフの方でも担当できるようになり、入社1年未満の若手社員でも調達という領域にしっかりと触れることができています。

プロセスを責任者がリアルタイムで確認し、最終的にワークフローで承認できる。マネジメント側は安心して任せられますし、現場からも「仕組みがあるから、迷わず安心して働けるようになった」という声が出ています。

滝井様:業務がオープンになったことで、メンバーそれぞれの可能性がどんどん広がっているのを感じます。調達という仕事そのものに興味を持ってくれる人が増えるのは嬉しいですし、「コスト削減に向けた個人の努力」が数値として可視化される。それが正当な評価やモチベーションに繋がっていくという、理想的な好循環を期待しています。

会社の「原価」を握る自覚と、データに基づく戦略的調達の推進

―最後に、今後どのような調達組織を目指していきたいですか?

深川様:今後の調達部門には、コスト低減だけでなく、調達プロセスの透明性向上など、サプライヤー様にも喜ばれる関係性の構築と情報共有が大切だと思います。それにより、安定供給やリスク低減につながると思います。

また、経営の質を向上するために、目先にとらわれない視座の高い戦略的調達が求められます。目指すのは、属人化した調達ではなく、全社共通の仕組みとDX基盤によって支えられる調達組織です。

今年度は仕入販売商品に重点を置きましたが、来年度は製造工場における材料・在庫品の調達の改善も進めることでコストインパクトの拡大を図ります。加えて、全事業所で共通して使用している商品を洗い出し、集中購買を進めてコスト低減を実現していきたいと考えています。

原田様:社内ではよく「調達・購買は大事な部門だ」と言っていただいています。もちろん、それはありがたいことなのですが、これからはその「大切さ」を数字で示せる形にしていきたいと考えています。

調達は、会社の利益に直結する非常に重要なセクションです。自分たちがどれだけ会社全体の利益に貢献しているのか。それを客観的な数値として可視化できる仕組みがあれば、メンバーのやる気に繋がりますし、何より正当な評価へと連動していくはずです。単に「安く買う」ことだけが目的ではなく、「自分たちの働きがこれだけ会社を支えているんだ」と全員が胸を張って示せるような、そんな組織の土台をリーナーとともに築いていきたいですね。


滝井様:製造業として、その根幹となる「原価」を握っているのは、私たち調達部門であるという自覚をより一層強めていきたいと考えています。これからはリーナーに蓄積された膨大なデータを基盤にして、より戦略的な購買活動を組織として推進していくつもりです。

私たちの役割は、コスト競争力を高め、市場で勝つための「フカガワの未来」の土台を作ること。そして同時に、社会やサプライヤー様からの信頼を築いていく最前線に立っているのも私たちです。

取引の透明性を確保し、誠実なプロセスを通じて相互の信頼関係を深めていく。そのためのインフラとして、リーナーはマストです。

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