Leaner

「変化への挑戦」が導く日本フェンオールの調達DX〜「現状維持は衰退」と断じ、10年先も揺るぎない持続可能な供給体制を築く〜 

社名

日本フェンオール株式会社

従業員数

連結:271名 単体:219名(2025年12月末現在)

事業内容

熱の制御をコア技術に「防災設備、感知機器」「温度制御機器」「医療機器」「プリント基板実装、組立」の4つを主要な事業軸としてサービス展開。

課題

・知見の属人化による経営リスク
・アナログ運用に伴う膨大な作業工数
・サプライヤー選定の不透明さと固定化

「防災設備、感知機器」「温度制御機器」「医療機器」「プリント基板実装、組立」4つの事業を自社一貫体制で展開する日本フェンオール株式会社。同社の調達部門は、知見の属人化を深刻な経営リスクと捉え、経営方針『変化への挑戦』のもと調達DXへの取り組みを開始しました。

リーナーの導入により、見積工数の5割削減という大きな効率化を実現し、創出した時間で調達部門が設計段階から参画する「開発購買」を本格化させるなど、データの活用による「攻めの調達」へと進化を遂げています。「現状維持は衰退と同じ」と断じ、10年先を見据えた持続可能な調達体制を築く同社の調達DXについて詳しくお話しを伺いました。

■お話を伺った方
日本フェンオール株式会社 生産本部 生産推進部
部長 玉井 様
資材調達課 課長 新貝 様
資材調達課 南澤 様
生産管理課 中條 様


ーまずは、御社の事業内容について教えてください。

玉井様:当社は、大きく分けて「防災設備、感知機器」「温度制御機器」「医療機器」「プリント基板実装、組立」という4つの事業軸を持ち、開発から製造、販売までを一貫して自社で行っているのが特徴です。

生産拠点としては長野工場がその要を担っています。私たちの所属する「生産推進部」は、生産活動におけるQCD(品質・コスト・納期)を最適化し、生産性と経済性をより向上させることをミッションとして、各部門と連携しながら調達業務を行っています。

知見の属人化は経営リスク。現場の非効率を解消し、10年先も持続可能な経営を実現する一歩を踏み出す

ーこれまで抱えていた調達業務における課題を教えてください。

「個人の記憶」に頼った業務が、膨大な作業工数を生む

南澤様:まず、見積取得に大きな工数がかかっていたことが日々の課題でした。情報が蓄積・共有される仕組みがなかったため、過去の情報を知りたい時は、巨大なファイルから紙を探すか、覚えている人に聞くしかありませんでした。それでも解決しない場合はゼロから調べ直すことになり、とにかく手間がかかっていました。

また、人の記憶に頼る部分が多いため、最終的には定性的な情報で判断せざるを得ない場面も多く、後になって「実はあちらのサプライヤーの方が安かった」と判明することもありました。このように各メンバーがそれぞれに情報を積み重ねながら業務を行っている状態でした。

新貝様:今は若手も多い環境に変わっていますが、私が入社した当時は平均年齢が50歳を超えており、私が1人若手で、後は10年、20年と経験を積んだベテランばかりでした。引き継ぎも「交渉は口頭」「記録は紙」これを覚えていく。といった、まさに「属人化の極み」と言える環境でした。

そこで、まず私は自分が担当したサプライヤー様の情報をExcelにまとめ、各社の強みや、購入品目などが可視化できるよう整備を進めました。

とはいえ、業務フロー自体はアナログなままなので、見積依頼のたびに都度メールを作成し、送信後も「どこから回答が来たか」の進捗確認に余計な時間を取られていました。

各担当者が業務の情報を個別に管理していたため、隣に座っているメンバーでも、どこのサプライヤー様に依頼を出しているのかすら、お互いに分からない状況でした。

10年後も同じ成果を出し続けるための仕組み作りが急務

玉井様:皆さんが言ってくれたように、管理者の立場からも、やはり属人化は深刻な課題でした。どれほど調達のプロフェッショナルが揃っていても、将来的な人の入れ替わりは避けられません。「今コストダウンができていても、5年後、10年、人が入れ替わった時に同じことができるのか」と考えたとき、今のままでは難しいと感じていました。調達の成否はそのまま経営数値に直結するため、知見が引き継げないことは大きな経営リスクでした。

また、足元の業務においても「一部のサプライヤー様からの調達で満足していないか」「新たなサプライヤー様を開拓することで、QCDをさらに最適化できるのではないか」という思いがありました。個人の記憶や経験に頼るのではなく、誰が見ても「最適な購買ができているよね」と分かる調達をするにはどうすればいいのか、ずっと悩んでいました。

経営方針「変化への挑戦」を体現。現状維持を打破し、未来の製造基盤を築く調達DX

ー調達DXに着手しようとしたきっかけを教えてください。

玉井様:限られた人員の中で滞りなく調達を行わなければ、最終的には製造が止まり、ものを作れなくなってしまいます。これは絶対に避けなければなりません。

しかし、調達の現場では私たちのメインサプライヤーである小規模な加工業者様において、高齢化による廃業も近年増えてきています。

また、取適法への対応に伴い、電話内容の記録や事後のメール送付といった工数も増大しています。「この作業だけでも大変ですよ」と言えるほど、対応すべきことが増え続けているのが実態です。

このような状況でも現状、業務自体は回っています。正確には現場のメンバーが「回してくれている」という状態ですが、やはり将来を考え、世間を見渡したときに、今までのようなアナログな調達業務を続けることは非常に大きなリスクだと感じていました。

当社には、経営方針として「基本の徹底」と「変化への挑戦」という言葉があります。この「変化への挑戦」に照らし合わせたとき、現状維持、つまり今よければ良いというのは「衰退と同じ」であるという私たちの意識がありました。

何かを変えなければいけないと強く感じていた中で、より効率的に、少数精鋭でパフォーマンスを上げていく方法を模索して情報収集を行いました。そのタイミングの中、展示会でリーナーさんを知ったことが、DXへの取り組みを本格化させるきっかけとなりました。

見積業務の工数を「半減」し、過去の履歴も進捗も、すべてを「資産」に変えた見積DXの効果

ーリーナーの活用における効果を教えてください。

中條様:見積依頼を出す際に1件ずつ個別にメールを作成して送り、回収後は各サプライヤー様とのやり取りを整理して結果をまとめるといった作業をすべて手作業で行っていました。こうした業務が複数の案件で同時に進行するため、進捗を把握するタスク管理だけでも大きな手間がかかっていました。

リーナーを導入してからは、「ボタンぽち」で複数のサプライヤー様に一括で依頼を送ることができ、回答結果も自動的に比較可能な形で表示されます。見積の依頼から回収までの実務はもちろん、自分自身の業務の進捗管理もすべてリーナーの中で完結できるようになったため、本当に楽になりました。

南澤様:リーナーを使って変わったと感じるのは、これまで属人化していたことがオープンになったことです。「誰が・何を・どこまで進めているか」がひと目で把握できるため、チームとしての進捗管理の観点でものすごく改善されました。

新貝様:チーム全体の案件・進捗状況が可視化されたことで、状況を把握した上で、案件に紐づくチャット機能ですぐに質問ができるようになり、非常に助かっています。

また、過去の履歴やサプライヤー様とのやり取りがすべて蓄積されている点も大きなメリットです。例えば、部署異動した前任者が担当していた案件でも、リーナーを見ればすぐに状況が把握できます。以前なら本人に聞きに行き、当時のメールを遡ってもらって……。今振り返ると相当な手間が発生していましたし、大変でした。

玉井様:属人化が解消されたことで「組織知」が強くなったと実感しています。 私は現在、実務の第一線からは離れていますが、経営層から「あの案件はどうなっているか」と問われた際、自らリーナーを確認して即座に回答できるようになりました。担当者に余計な工数をかけさせずに状況把握ができる点は、マネジメントの立場からも非常に有効です。 

実際、見積依頼から回収、案件管理に至る業務工数の削減効果は大きく、リーナー導入によって「見積業務における工数の半減」が実現できたと試算しています。

単なるツール導入で終わらせない「調達DX」のストーリー。工数削減とコストダウンを可視化し、安定調達の基盤を築く

ー導入当初、システム導入という新しい取り組みについてどう感じられましたか?

南澤様:私は、見積書の保管をはじめとする日々の煩雑な業務がすべてデータ化されると聞いたとき、嬉しくて仕方がありませんでした。アナログな作業から解放されることへの期待が非常に大きかったです。

新貝様:私はそれまで完全にアナログな手作業で業務を行っていたので、正直なところ、最初は具体的なイメージが全く湧きませんでした。「一体何ができるようになるのか」「どれほど楽になるのか」というのが、当時の率直な感想です。

また、お取引先様には年配の方も多いため、「皆さんにデジタルでの作業をどこまで対応していただけるだろうか」という不安も少なからずありました。

玉井様:私は調達DXを推進する立場でしたので、まずは現場のメンバーが新しい仕組みを受け入れてくれるかどうかを心配していましたが、皆が「ぜひやりたい」と前向きに同意してくれたことで、その不安はすぐに解消されました。

一方で、管理者として苦心したのは、導入に対する費用対効果をどう示し、日本フェンオールの「調達DX」をどのようなストーリーで描くかという点です。

経営層と現場では見えている景色が全く異なります。求められる成果に対し、なぜこのツールが必要なのか。導入することで、人員を増やさずとも業務の幅が広がり、属人化を解消して長期的に安定した調達活動が継続できることなどを、上司へ何度も丁寧に説明しました。

最終的にはリーナーの皆様のお力も借りながら、定量的な側面として「業務効率化による人材コストの削減効果」を数値化し、さらにリーナーの活用によって生まれた「プラスアルファのコストダウン成果」も併せて示すことで、導入を進めることができました。

ー当初懸念されていたサプライヤー様の活用の定着はいかがですか?

新貝様:導入当初こそ「使い方がわからない」といったお問い合わせをいただくこともあり、弊社の窓口やリーナーのサポートデスクで対応する場面もありました。しかし、皆様すぐに慣れてくださったようで、現在はそうした問い合わせもほとんどありません。

もともとお付き合いのあるサプライヤー様の中に、すでにリーナーを利用されている企業様が多かったこともありますが、初めての企業様にもスムーズに定着していきました。

むしろ、サプライヤー様側からもポジティブな反応をいただいています。「見積依頼が届くと自分のタスクとして画面に表示されるため、進捗や期限の管理がしやすくなった」という声をいただいており、双方にとってメリットがあると感じています。

調達DXがもたらした「攻め」への転換。「決定後の購買」から、新たな価値を創出する「開発購買」へ

ー今後、リーナーを活用して調達部門として取り組みたいことはありますか?

南澤様:今後は、各サプライヤー様の「得意分野」が一目でわかるデータベースを構築できると、よりいい調達の実現につながると考えています。新しく業務に加わったメンバーでも、「この品目ならここへ依頼すべき」と即座に判断できる状態を目指しています。分野別・品目別に情報を一元化できれば、さらなる属人化の解消に繋がると確信しています。

新貝様:資材担当として、今後は「開発購買」により一層注力していきます。リーナーを開発部門や営業部門といった他部署へも展開し、全社的な情報共有のプラットフォームにしていきたいですね。部署を跨いで情報がつながることで、会社全体の業務工数が削減され、さらなる効率化が実現できると考えています。

玉井様:これまでは、八王子のR&Dセンターで仕様が決定した後に、量産購買の依頼が工場へ届くという流れが主流でした。しかし、仕様が決まった後ではコストダウンの余地は限られてしまいます。そこで効果的なのが、設計・開発の初期段階から購買部門が参画する「開発購買」の強化だと考え、進めています。早い段階での最適なサプライヤー選定や「作りやすく安価な仕様」への変更提案を行うことで、長期的なコスト抑制を実現し、経営への寄与度を高めていきたいです。

実際、現場には開発側から「どこに作ってもらうのが最適か」という相談もどんどん届き始めています。見積業務の工数削減という当初の目標は達成できたため、今後は蓄積されたデータを活用したコスト分析にも挑戦し、さらなるコストダウンの切り口を探っていきたいですね。

ー最後に日本フェンオールの調達部門として目指している姿はどのようなものか、教えてください。

新貝様:調達という機能は、会社全体を俯瞰したときに「コスト」や「品質」をコントロールするという、極めて重要な役割を担っています。メンバーひとりひとりが、その重い責任を担っているのだという当事者意識を持って、日々の業務に当たっています。

今後は、個人の強さを超えて、組織として「強い調達」を実践していきたい。そして、経営層から「わが社の最大の強みは資材調達である」と迷いなく言ってもらえるような、圧倒的に強い組織へと成長させていきたいです。


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