Leaner

見積工数45%削減の先にある、購買部の進化。 5人で支える仕入れの最前線を「会社の数字を動かす存在」へ 

社名

帝國製薬株式会社

従業員数

953名(令和6年12月31日現在)

事業内容

パップ剤、テープ剤、漢方製剤、その他医薬品、医薬部外品、化粧品

課題

・アナログ業務による工数増大の限界
・情報のバラつきと可視化の欠如

■お話しを伺った方
帝國製薬株式会社
購買部長
購買部 係長
購買部 主任
購買部 ご担当者

帝國製薬株式会社は、1848年に創業し、2025年で創業177年を迎える製薬会社です。医療用医薬品の製造・販売を主軸としており、「痛み領域」と「経皮吸収技術」の2点を強みとした「貼付剤」の研究開発・製造販売に特化しています。同社の購買部では、長年続いてきたアナログ中心な業務に課題を抱えていました。リーナー導入によって変化した業務、これからの購買部のビジョンについてお話を伺いました。


ーまず最初に御社の事業内容について教えてください。

係長:弊社は貼付剤の研究開発・製造販売に特化した製薬会社です。貼付剤には、一般的に厚みのある「パップ剤」と、薄くて目立ちにくい「テープ剤」がありますが、弊社はその両方を手がけています。歴史的には、世界で初めて温感タイプの貼付剤を開発するなど、消炎鎮痛パップ剤のパイオニアとして業界をリードしてきました。

また、パップ剤の生産能力には圧倒的な実績があり、2023年の製造実績は約5億枚ですが、生産キャパシティとしては年間12億枚を誇ります。これは、製品(10cm×14cm)を縦に繋げていくと、地球を約4.2周もする計算になります。このパップ剤の生産能力において、弊社は世界一の規模を有しています。

現在は、医薬品以外にも医薬部外品や化粧品を展開しており、経営ビジョンとして「貼って治すを、世界に届ける」、そして「PAIN CARE(ペインケア):人類を痛みから解放する」というコンセプトを掲げ、世界中の人々のクオリティ・オブ・ライフ向上に貢献することを目指しています。

「1品目でも欠ければ工場が止まる」利益創出・安定供給・情報管理。経営を支える帝國製薬の購買部が果たすべき使命

ー購買部で日々担当されている業務について教えてください。

部長: 私は購買部の責任者として、部全体の業務管理や進捗確認を行っています。会社全体の管理の中で、購買部としてどのような目標を掲げ、成果を出していくべきかという目標や方針を決め、進めることが主な役割です。また、不測の事態に備えたリスク管理など、調達業務全般の統括を担っています。

係長:私は原材料の調達を担当しています。主にサプライヤーとの折衝がメインです。QCDの向上を目指し、各サプライヤーとの交渉や関係構築に注力しています。

主任:私はメンバーの指導にあたりながら、実務面では原材料の数量の計画策定や、計画数量の調整などの業務を担当しています。

ご担当者:現在は原材料の発注業務と見積依頼を担当しています。「リーナー見積」をメインで活用しており、現在は主に原料に関する見積依頼の実務を一手に引き受けています。

ご担当者:私も原材料の見積依頼を担当しています。システムを利用して効率的に見積もりを収集・管理する実務を行っています。

ー購買部が掲げているミッションについて教えてください。

部長:購買部のミッションは、大きく分けて3つあり、1つ目は「調達を通じた利益の創出」です。単に物品を購入するだけでなく、より良い条件で買うことで利益を捻出し、会社の利益を最大化することを目指しています。

2つ目は、「安定的な供給」です。私たちが扱うのは事務消耗品などではなく、工場の製造に直結する原材料がメインです。もし1品目でも欠ければ、工場のラインが止まってしまうという重大な責任を負っています。工場への安定的な供給を維持し続けることは、私たちの極めて重要な使命です。

3つ目がやはり「情報の管理」です。サプライヤーや同業他社の動向、市場の変化などに対して常にアンテナを高く張り、得られた有益な情報を社内へスピーディーにフィードバックすることです。

昨今ではBCPの観点からも、リスク管理という視点でもサプライヤー情報管理は欠かせません。これら3つのミッションを軸に、全方位的な視点を持って日々の業務にあたっています。

市場の変動に対応しきれない、アナログな見積管理プロセスの限界

ーLeanerを導入する前、現場ではどのような課題を抱えていたのでしょうか。

係長:購買部全体として、特に見積管理のプロセスに大きな課題を感じていました。従来、サプライヤーへの見積依頼から回収までのやり取りは、すべて個別のメールで行っていました。そのため、案件数が増えるほど業務負担が膨れ上がり、回収作業そのものが大きな工数になっていたことがまず一点あります。

また、回収した見積書の内容は、サプライヤー様ごとに書式が異なるため、こちらが欲しい情報が網羅されているとは限りません。回収した情報の粒度にムラがあると、不足している情報を補うために改めてメールや電話、あるいは対面で確認し直さなければならず、均一の情報をどのように収集するか、という点も課題でした。

主任:具体的な例を挙げると、リードタイム一つとっても、記載がある社とない社があるといった具合です。こちらとしては均一な情報を揃えて比較したいのですが、提出される情報の粒度がバラバラだったため、実質的に「管理できている」とは言い難いのが実情でした。

また、以前は1件ずつメールを送っていたため、「あの件はどうなっていたか」と過去のメールを遡って確認するだけでもかなりの時間を取られていました。さらに、見積もりをいただいた後に届いた内容を目視で確認し、Excel表へ品名や単価を手入力し直してから、別の部署へシステム登録を依頼するというフローだったため、この「Excelに起こす」というアナログな作業にも結構な時間を取られていました。

係長:それから「進捗の可視化」も大きな課題でした。複数のサプライヤーに一斉に見積もりを依頼しても、現時点でどの社が回答済みで、どの社が未回収なのか、あるいはいつ頃回答がもらえそうなのか。そうしたステータスをパッと見て把握できる仕組みがなかったため、状況の可視化ができていない状況でした。

ご担当者:従来の見積書管理は、「紙ベース」でした。メールで届いた見積書を出力して紙で保管していたため、誰かがその原本を手元に持っていると、他の人が内容を確認できないといった不便さがありました。

激変する市場、頻発する価格改定。凄まじい勢いで増え続ける「作業量」のコントロールが急務に

部長:ここ直近の数年は、原材料費の高騰や為替の変動など、あらゆるものの価格変動率が非常に激しくなっています。それに伴い、購買部に舞い込む「価格改定」への対応案件がかつてないほど頻発するようになりました。

事務作業にメンバーが振り回され、本来注力すべき業務の時間が奪われてしまう。凄まじい勢いで増え続ける作業量をいかにコントロールするかが、マネジメント上の大きな課題でした。

弊社の決算期(1月〜12月)の関係で、第1四半期にあたる1月〜3月は価格改定の業務が集中します。この3ヶ月間は、部員全員がほぼその対応だけに忙殺されてしまうほどでした。こうした状況を打破するために、いかに業務を簡素化・システム化するかが急務でした。

また、昨今の価格上昇については避けて通れない波だと捉えています。弊社だけが安く仕入れができるというようなことは、ありえません。だからこそ、上昇率をいかに回避・抑制できるかという「策」を練ることに時間を割くことが重要だと考えていました。

調達を介し、ロジスティクスの見直しや発注単位の最適化、さらには仕様変更の提案やサプライヤーの切り替えなども含めた、全方位的に有益な情報を収集・配信し、社内全体を巻き込んでコストを下げていく。こうした「情報管理」を通じたコスト抑制こそが購買部の真のミッションだと考えていましたが、以前は日々の作業に追われ、そこまで手が回っていなかったのが実態でした。

「アナログ中心な業務」を今変える。情報の継続性を守り、未来へ繋がり続ける調達基盤の構築へ

ー長年続いてきた体制の改革に着手した、最大のきっかけは何だったのでしょうか。

部長:今、世の中には優れたクラウドシステムが次々と登場し、どの企業も業務効率化を加速させています。そんな中でふと自分たちの足元を見たとき、「いつまでこんなアナログ中心な業務を続けているんだ」という危機感を抱いたのが原点です。おそらく、私だけでなく部員全員がどこかでそう感じていたはずです。

私が次の世代にバトンタッチする時に、今の非効率な業務をそのまま引き継がせるわけにはいきません。「私の代で変えないと」と決意し、思い切って社内提案、問題提起したのが、今回のプロジェクトの始まりでした。

また、データのあり方についても大きな不安がありました。これまでも仕入れ単価などのデータは蓄積してきましたが、それはあくまで部内のパソコンや共有フォルダの中に保存されているに過ぎませんでした。これは当然ながら自分たちでバックアップを取り、管理し続けなければなりません。

もし不測の事態が発生し、データがすべて消失してしまったら困りますが、クラウドであれば情報は「個人の持ち物」から「会社の資産」として永続的に蓄積されていきます。

情報の継続性を守るためにもクラウドを利用する優位性があると判断しました。

「見積特化」だから実現した、購買部主導の迅速なデジタル化。リーナーを選んだ理由

ー数あるシステムの中から、リーナーを選んだ理由を教えてください。

部長:購買管理システムは世の中に数多くありますが、そのほとんどは受発注業務を中心とするパッケージで、「見積管理」という特定の工程だけにフォーカスしたサービスは、それほど多くないと思います。

弊社にはすでに受発注管理システムがあり、それを刷新するとなると他部署を巻き込んだ全社プロジェクトになってしまいます。一方、見積書や単価の管理は、完全に「購買部が管轄する情報」です。ここを切り出してシステム化できるのであれば、他部署に影響を与えず、自分たちの判断でスピーディーに業務効率化が図れる。その「見積特化」というあり方が、私たちのニーズに合致したことがポイントでした。

係長:導入検討にあたっては、会社として「コストに見合うリターンがあるか」という点が最大のポイントでした。実務としては、これまで挙げてきた「転記作業の負担」や「進捗の不透明さ」といった課題が、このシステムで本当に解決できるのか、効率化できるのか、という点を見極めました。結果として、費用対効果が出ると判断し導入を決めました。

ー費用対効果について、どのように考えたのか具体的に教えてください。

部長:納得感のある承認を得るためには、定性的なメリットだけではなく「定量的なデータ」を示すことが不可欠です。

そのため、まずは現状の見積業務に「何人で、どれだけの時間を費やしているのか」をすべて洗い出し、数値化することから始め、リーナー見積を導入することで、どれだけ短縮され、金額換算でどれほどの効果が出るのかを比較し、上申しました。

この算出にあたっては、リーナーさんからも多面的なアドバイスとサポートをいただきました。客観的な数字に基づいたシミュレーションを提示できたことが、上層部からの理解を得られた大きな要因だったと感じています。

アナログな実務を一変させ、見積業務の工数を45%削減。

ー「Leaner見積」の導入によって、実務面ではどのような変化がありましたか。

主任:最も大きな変化は、他部署へ依頼する「単価登録」の作業が楽になったことです。以前は、「品目名」「新単価」「旧単価」などを一つずつExcelへ手入力し、書き起こす作業が必要でした。今はリーナーからCSVデータを抽出し、そのまま提出できるため、アナログな転記作業が一切なくなりました。

また、品目名の「答え合わせ」が不要になったことも大きいです。実は、仕入れ先が呼ぶ品名と、弊社の製造現場で使っている品名が異なるケースが多々あり、以前は「この見積書にある品名は、自社システムのどの品目コードか」を確認する作業が発生していました。現在はリーナー上に品目コードと名称を紐付けてマスター化しているため、その確認作業も完全にゼロになりました。

ご担当者:コミュニケーションの面でも非常に助かっています。特にチャット機能が便利で、過去にどのような経緯でやり取りしたかがすべて履歴として残ります。情報の把握がスムーズになりました。

繁忙期には一斉に見積依頼をかけますが、サプライヤーさんへのリマインドもリーナーのシステムで自動で行われ、回収状況も一目で把握できます。この作業が削減されたことも、大きな効果だと感じています。

ご担当者:操作が直感的でわかりやすいのも魅力です。基本のテンプレートを作っておけば、次回以降は案件を複製するだけで簡単に依頼が作成できるため、準備の手間が大幅に省けています。

主任:一言で言えば、見積依頼から回収後の処理まで、すべての進捗が「可視化」されました。一斉送信後のステータスがリアルタイムでわかるようになり、最後はCSVで出力して他部署にすぐ連携できます。こうした一連のフローの改善が、最終的に45%もの工数削減につながったのだと実感しています。

事務作業から「サプライヤー折衝」という本来の役割へ。効率化で生まれた時間が、交渉や戦略的な関係構築を加速させる

ー業務が効率化されたことで、購買部の動き方にどのような変化がありましたか?

部長:主任がサプライヤーとの折衝に積極的に関われるようになったことが大きな変化です。以前は時間が取れず難しかったのですが、現在は自らサプライヤーとのミーティングや訪問を重ね、交渉の窓口として動いています。

また、既存業務の質を高める取り組みも進んでいます。これまで手が回っていなかったマニュアルの見直しや、BCPに関わるサプライヤーリストの最新化など、「やらなければならないが、後回しになっていた業務」のメンテナンスにしっかりと時間を割けるようになりました。

ご担当者:私は今年から原材料の発注業務を引き継ぎましたが、以前よりも業務内容の見直しや引き継ぎに十分な時間を確保できています。

格段に速くなったレスポンス。利便性と「システム完結」の仕組みが、サプライヤーの事務負担を軽減

係長:体感として、サプライヤーさんからのレスポンスは以前より格段に速くなりました。

部長:私も届くメールをすべて確認していますが、以前よりも回答が返ってくるスピードが上がっていると感じます。リーナーならシステム上で回答が完結しますし、サプライヤー様にとっても、わざわざ紙の見積書を発行して印鑑をもらうといった手間が省けます。サプライヤー様の事務負担も軽減され、それが回答スピードの向上につながっているのではないでしょうか。

ご担当者:先日ある取引先様とお会いして、お話する機会があったのですが、「リーナーは見積回答入力しやすくて使いやすい」というお言葉もいただきました。

ー今後、リーナー見積をどのように活用していきたいか、展望を教えてください。

係長:現在は一斉の価格改定などを中心に活用していますが、今後はさらに一歩踏み込んだ使い方を模索しています。現状、詳細な価格交渉はどうしても対面や電話といった「システムの枠外」で行われることが多く、そのプロセスが記録に残りにくいという課題があります。

もちろん、対面だからこそ伝わるニュアンスや、腹を割って話せる良さはあるのですが、今後はチャット機能などもさらに積極的に活用し、どのような経緯でその結論に至ったのかという「折衝の履歴」を極力システム内に残していきたいとも考えています。

また、これまでに蓄積されてきた見積情報の「抽出と分析」も進めていきたいです。

5人が支える仕入れの最前線、直接利益を創出する「経営のパートナー」へ 。「縁の下の力持ち」を卒業し、調達から会社の数字を動かす存在に進化する

ー最後に、これからどのような購買部にしていきたいか、ビジョンを教えてください。

部長:私たちは、「経営に対して明確なプレゼンスを発揮できる部署」を目指しています。購買部門が経営においてどのような機能を果たし、その活動がどれほどダイレクトに企業の収益に寄与しているか。それを数字と成果で示せる組織でありたいと考えています。

当社の売上において、原材料の仕入れ原価が占めるウエイトは非常に大きく、その変動は経営指標に直結します。年間の膨大な仕入れコストを、わずか5人のメンバーが責任を持ってコントロールし、最適化を図っています。

よく購買業務は「縁の下の力持ち」と表現されますが、私は変えていきたいと思っています。なぜなら、購買部が担う原価低減は、売上の向上と同じ、あるいはそれ以上に直接的な「利益」を創出する役割であるからです。私たちはもっと表舞台に出て、経営の数字を動かし、会社全体を牽引していく存在へと進化していかなければなりません。

「リーナー見積」の導入はその第一歩に過ぎません。今後はより高度な戦略的調達を実践していきます。購買部こそが「利益の源泉」であり、経営に参画し、企業の成長を力強くバックアップする。そんな、組織に欠かせない原動力となっていきたいと思っています。

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