
かんでんエンジニアリングが挑む「上流購買」への転換。「デスクに座る調達」を脱却し、バイヤーの知見でお客さまと社会に貢献する組織へ


社名
株式会社かんでんエンジニアリング
従業員数
2,117人(2025年4月1日現在)
事業内容
電力・通信インフラの技術を基盤に、受変電設備をはじめとする各種設備の「分析・診断」から「設計・施工」までを一貫して提供
課題
・アナログ業務による工数の逼迫
・情報の属人化と進捗管理の困難
・「上流購買」へ移行するためのリソース不足
電力インフラを支える株式会社かんでんエンジニアリング。同社の調達部門は、戦略として掲げる「上流購買」への転換を目指しながらも、膨大なメール対応やアナログな事務作業に課題を抱えていました。
リーナーを導入、活用いただき、わずか半年で工数を2〜3割削減、創出した時間で「支店工事・設計部門への訪問」活動を開始しました。単なる「物を買う部門」から、バイヤーの知見を活かしてお客さまと社会に貢献する組織へ。「デスクに座る調達」を脱却し、攻めの姿勢へと転換した同社の購買DXについて詳しくお話を伺いました。
■お話を伺った方
株式会社かんでんエンジニアリング
事業サポート本部 サポート室
調達部長 森谷 様
調達部 契約グループ グループマネージャー 柏原 様
調達部 契約グループ 主査 山田 様
調達部 契約グループ 西條 様
ーまず、御社の事業について教えてください。
森谷様:当社は長年にわたり、水力発電や送配電、情報通信といった幅広い領域で、電力・通信インフラを支える業務に従事してまいりました。そこで培った技術と経験を活かし、お客さまの受変電設備をはじめとする様々な設備の「分析・診断」から「設計・施工」までを一貫して担う総合エンジニアリング企業として事業を展開しています。
昨今の脱炭素社会へ向かう大きな変化の中でも、電気設備を中心とした省エネルギー化や電化に関する工事、点検、保守、そして電気・通信インフラの維持管理を通じて、お客さまと社会のお役に立てるよう取り組んでいます。
このように、当社は「お客さまと社会のお役に立ち続ける。」という経営方針を掲げ、常に最適なソリューションを提供できるよう事業を展開しています。
ー現在リーナーを活用いただいている調達部について、具体的な業務を教えてください。
柏原様:私たちの所属する事業サポート本部は、人事・総務・企画といった間接部門が集まっている組織です。その中にある調達部は、全社の調達関係の業務を行っている部門です。
調達部の中には「計画グループ」と「契約グループ」という2つの組織があります。「計画グループ」は全社の規程や統制などを取り仕切る役割を担っており、リーナーを活用している「契約グループ」は、全社で使用する資材などを買い付ける、いわゆるバイヤーとしての業務をメインに行っています。
山田様・西條様:具体的な担当業務は、主に電気工事に不可欠な電線ケーブル、変圧器、照明器具といった資材の調達です。
ーリーナー導入前に抱えていた課題を教えてください。
山田様:既存の購買業務が非常に非効率だったことです。具体的には、サプライヤー様への見積依頼をメールで送ったり、電話で内容の確認や督促をするといった作業が常態化していました。基本的に見積の業務はメールで行っていたので、数百社とメールのやり取りが発生し、日々その対応に追われているような状況でした。メールと電話による事務作業に多くの工数を取られていました。

西條様:案件は基本的に1人で担当しており、1人あたり月に20〜30案件を回しています。そして、見積もり情報の管理も各担当者に委ねられていました。
サプライヤー様からの見積回答は担当者個人のメールに届くため、担当者がシステムに手入力しない限り、案件の状況や進捗は分からず、担当者が不在の時などは対応が遅れてしまうこともありました。
ー経営、マネジメント視点で調達部門の課題をどのように捉えられていましたか?
森谷様:業務の効率化は喫緊の課題であると捉えていました。
私たちは、従来の「受け身の購買」から脱却し、より早いフェーズから関与する「上流購買」へのシフトを戦略として掲げています。通常、調達部門の業務は、工事部門や営業部門から「これを発注してほしい」という依頼を受けてからスタートします。しかし、依頼が来た段階ではすでに設計や予算が固まっており、調達部でコントロールできる範囲は限られています。
しかし、調達部門が設計段階から参画すれば、「この仕様に変更すればより安価に、あるいは短納期で調達できる」といった提案が可能です。こうした調達部門の知見を活かすことで、最終的にお客さまへの価格還元や信頼獲得に貢献したいという強い想いがありました。
ー購買改革に着手したきっかけを教えてください。
森谷様:さらなるコストダウンや納期短縮を実現し、何かもっと提案できないか、もっと調達部がお客さまの満足に貢献できないか、と考えた結果、「今のやり方のままでは、バイヤーがどれだけ努力しても限界がある」と。
実際、調達部のメンバーは既存のフローの中でやれることには全力を尽くしてくれています。ただ、現実は下流にあたる事務作業があまりにも煩雑で、多忙を極めており、新たな取り組み、つまりは理想である「上流」へ人員をシフトする余裕がまったくない状態でした
この課題を解消するためには、業務のあり方そのものを根本から変える必要があります。まずは下流の購買業務を徹底的に効率化・省力化し、そこで生み出したリソースを「上流購買」という高付加価値な領域へ振り向ける。これこそが、調達部門が取り組むべき最優先事項であると判断しました。
ーシステム選定において重視していたポイントを教えてください。
森谷様:まず「セキュリティの強固さ」と「コストパフォーマンス」です。
これまでのシステム運用では、法改正や規程の変更があるたびに、改修のための追加コストが発生していました。その都度、多大な費用と時間を費やすこのやり方には非効率さを感じており、こうした「運用の重荷」を解消したいという背景がありました。
そのため、自社で作り込むのではなく、常に最新の状態にアップデートされるパッケージのサービスであることは重要でした。
この2つのバランスを最適化できるソリューションを求めていました。
ーシステムの中で、リーナーを選んだ理由を教えてください。
柏原様:一番惹かれたのは、見積依頼を一斉に送ることができる仕組みです。
これまでの私たちの業務で最も工数を要していたのは、PDFを添付して一社一社メールを送るという作業でした。
サプライヤー様との膨大なやり取りをプラットフォーム上で完結させ、一括で依頼できるリーナーの仕組みは、業務を大幅に効率化できると感じました。
西條様:リーナーを知った時、画期的だなと思いました。特に私が1番ストレスを感じていた「見積結果の転記・入力作業」の手間とミスがなくなること、そしてワークフロー機能に魅力を感じました。
これまでは交渉方針や契約内容をエクセルで作成し、紙で出力してから電子回覧して上長の承認を受けるという、アナログな手順を踏んでいました。しかし、紙ベースでは書類を紛失するリスクがあり、もし紛失すれば膨大な手間をかけて一から作り直さなければなりません。そうした心理的な負担や紛失リスクが解消される点も、導入の大きな決め手でした。
森谷様:既存のシステムはあくまで「紙」での運用がベースになっていました。調達部員はそれを工夫しPDF化するなどして何とか運用していましたが、システム自体にワークフロー機能が備わっていないため、どうしても無理のある運用が続いていました。リーナーというパッケージであれば、見積依頼から承認までを一気通貫でデジタル化でき、こうした運用の歪みを根本から解決できると考えました。
ー最終的にリーナーの導入を決めた理由、また投資対効果についてどのように判断しましたか?
森谷様:総合的に費用対効果を計算して採算が取れるであろうという判断の結果、導入に踏み切りました。
直接的な調達コスト(原価低減)については、当初の計画には織り込んでいませんでした。結果として価格低減の効果が出るといいなと思いますが、それは一定期間運用してみなければ正確に判断できない不確定要素です。
それよりも私たちが重視したのは、「足元の業務の自動化による、確実な工数削減」でした。
見積依頼や督促、転記作業といった事務工数を削減する「間接コストの削減」だけで見ても、導入費用を上回る十分な投資対効果が出ると判断しました。
ーリーナー導入後、業務はどのように変化しましたか?
山田様:見積依頼の業務が画期的に変わりました。依頼にかかる工数を大幅に圧縮できただけでなく、サプライヤー様が依頼内容を確認したかどうかがシステム上で把握でき、不明点もチャットでやり取りできるようになりました。以前のような「メールが届いているか」を確認するための電話連絡が一切不要になったことも大きな変化です。
西條様:サプライヤー様とのコミュニケーションがチャットに代わったことで、大量のメール送信作業が削減されました。
また、見積結果をシステムに手入力する手間がなくなったことで、工数削減されているだけでなく、入力ミスがなくなり心理的にも本当に楽になりました。

森谷様:案件登録、メール連絡、承認業務といった一連のフローを一元化できたことで、調達部全体の業務工数を2~3割削減することができました。また、ワークフロー機能によって業務の抜け漏れがなくなり、プロセス全体が円滑に回っていることを俯瞰的にも実感しています。結果として残業時間も組織全体で減少しています。
山田様:事務工数を削減して得られた時間を活用し、当初の目標であった「上流工程への参画」をスタートさせています。リーナーを導入して半年足らずですが、すでに見積業務の効率化の効果を感じています。
柏原様:具体的には、上流購買の取り組みとして、調達部の担当が各支店へ直接出向く活動を始めました。実際に支店の現場に入り込むことで、受注前からメーカー提案や金額交渉などについて密にコミュニケーションをとることが可能になりました。
実際に支店へ足を運ぶことで案件の全体像が把握しやすくなり、結果として「案件網羅率」の向上にも繋がっています。
また、支店側からも好評で、例えば「見積回答の期日が厳しく、本来なら調整が難しい局面でも、購買担当がその場にいることで即座に判断・回答ができるため、対応の幅が広がっている」という声もあります。

この取り組みは、調達部員にとっても有用で、現場を知ることは非常に勉強になりますし、外部との接点を持つことは成長の機会です。事務作業に追われる日々から脱却し、非常に価値のある働き方へシフトできています。
ー今後リーナーを活用して実現したいことを教えてください。
柏原様:将来的にはAIなども活用し、購入品の価格査定や最適なサプライヤー選定の自動化が進むことを期待しています。もともとそれを目的にリーナーを選んだわけではありませんでしたが、テクノロジーを味方につけることで、今よりもさらに付加価値の高い仕事を生み出していくことに、非常に強い関心を持っています。
山田様:今後は、現在着手している「上流購買」の取り組みをさらに加速させるとともに、データの分析にも注力したいと考えています。
これまでは「特定のカテゴリーでメーカーが固定化されているのではないか」という仮説がありましたが、今後は実際のメーカーシェア率などを可視化していきます。データを基にサプライヤー間の競争を促したり、活性化をさせていきたいです。
また、現在は一部の支店に限定されている上流参画の取り組みについても、このまま訪問する支店数を増やすのか、あるいは別の手法をとるのか、調達部門として具体的な戦略を固めていきたいと考えています。

さらに、技術部門から製品選定の相談を受けた際の対応力も強化します。これまでは「このメーカーしか知らない」というケースもありましたが、今後はリーナーに蓄積された情報を活用することで、最適なサプライヤーの提案や、価格低減にも繋げていきたいと考えています。
西條様:私は異動で調達部に来た際、メーカーや契約先に関する知見がなく、サプライヤー選定にとても苦労しました。今後はシステムの力を借りて、経験が浅い担当者であっても、蓄積されたナレッジを活用して最初からそつなく、高いレベルで業務を遂行できる。そんな「個人の経験に依存しない購買組織」を作り上げていきたいと思っています。

ー最後にどのような購買組織を目指しているか教えてください。
森谷様:私たちは、単に「言われた物を買う」だけの部門から脱却し、より事業に、そして何よりも「お客さまに喜んでいただけること」に直接貢献できる部門を目指しています。
先ほど申し上げた「上流購買へのシフト」は、戦略の中心となる取り組みです。しかし、上流工程に入り込んでいくためには、単に人員を拡大すれば実現できるものではなく、相応の知見や知識、技能が求められます。
だからこそ、今ある業務を徹底的に効率化し、学びや挑戦のための時間を創出することが不可欠です。その実現を支えるツールとして導入したリーナーは、私たちの戦略において非常に重要なポジションを占めています。
デスクに座って事務作業をこなすのではなく、自ら動き、お客さまの満足や会社の持続的成長に貢献できる。そんな「調達という仕事の楽しさ」を実感できる組織を目指して、これからも取り組んでいきます。