しげる工業株式会社は1960年(昭和35年)に設立以来、自動車内外装部品のトータルサプライヤーとして、多様なニーズに応える幅広い技術力により、大手自動車メーカー、産業機械メーカーに必要とされ続けています。
調達部門においては、特にML決定(仕入先の確定)までのプロセスがアナログで紙が多いという課題があり、業務の生産性を上げ、より戦略的なコストダウンや取引先様との関係強化を行うために「Leaner見積」を導入しました。
今回は、取締役執行役員 小見山様、調達部部長 梅津様、調達部調達二課 課長 吉田様にLeaner見積導入の背景や今後の調達部の目指す姿についてお伺いしました。(以下 敬称略)
-まずはしげる工業様の事業内容と、調達部の役割について教えてください。
小見山:しげる工業は、1960年の設立以来、インストルメントパネルなどの自動車の内装部品や外装部品、フォークリフトや建設機械などの産業機械のシート(運転座席)製造に取り組んできました。その中で、調達部においては製品の製造に必要なほぼ全ての部品を調達しています。
吉田:調達部では鉄やインジェクションの部品のような大きいものから、ビスやボルト、ビニール袋のような細かいものまで幅広く調達しています。調達部は2課4係制になっており、それぞれの課ごとに購買するアイテムが分かれています。
-調達部として、日々の業務で感じていた課題はございますか?
小見山:私は経歴として、他部署から異動してきました。調達部では前の部署と比べ、デジタル化が進んでおらず、とにかく紙が多い印象を受けました。私はこの会社で働くメンバーには笑顔で出社し、笑顔で退社してほしい、と思っております。部下は本当に一生懸命やってくれています。しかしながら、単純な入力作業に忙殺されていることがしばしばある。頭を使わない作業はつまらないじゃないですか。
私は、そういった、部下が当たり前にやっているアナログな業務を変えたいと思っていたのです。というのも、しげる工業は「快適な居住空間を創造」することを目指しています。ここで働く社員にも、快適に楽しく働いて欲しいのです。
吉田:私は見積依頼をして、ML決定(Maker Layout:仕入れ先の確定)をするまでを業務としておこなっていたのですが、どうしても手作業が本当に多く、本来は原価低減のためのアクションや、取引先様との関係構築を行うべきなのですが、なかなか時間が取れなかった現状がありました。本来やりたいことに時間を使えていないと感じていました。
―その中で、「Leaner見積」の導入を決定した背景をお教えください。
吉田:導入の決め手は3点あります。1つ目は「業務効率化」につながる点、2つ目は「業務の引継ぎ」が簡単におこなえる点、3つ目は「見積書の電子帳簿保存法への対応」がなされている点です。
1つ目について、Leaner見積を使う前は、見積書を取引先様から入手して、それをエクセルに手入力して横比較する、といった作業をしていました。数百の部品の見積をとっており、例えば、1部品に対して複数社から見積をとるので、各社の見積情報を手打ちで入力していくのが本当に大変で、工数が膨大にかかっていました。それが、Leaner見積の導入により、各社の見積情報が自動で比較表という形で出てくるので、データ入力や集計といった作業がなくなりました。
2つ目について、Leaner見積を使えば過去の見積明細や取引先様との交渉履歴といった情報が自動で溜まっていくので、部署異動は勿論のこと、休暇や疾病などにともなう引継が楽におこなえます。誰がやっても見積査定の質を保つことができる、という点に魅力を感じました。調達部も色んな業種があって、部内でもローテーションがあるので、クラウド上に蓄積される過去の履歴や類似部品が見ることができる、検索できる、というのは非常にメリットに感じています。
3つ目の「見積書の電子帳簿保存法への対応」においては、2022年1月に改正され、2024年1月から適用される電子帳簿保存法について、調達部としてもどのような運用にするか課題としてあがっていたところでした。Leaner見積でやり取りした見積データは、自動で法律の保存要件にあったデータ保管がされていることも決め手の一つとなりました。
―導入時に不安だったことや懸念はありましたか?
吉田:取引先様あってのしげる工業ですから、本当に取引先様が「Leaner見積」を使ってくれるのかは懸念点でした。取引先様の規模は様々ですが、規模の大きくない企業様もクラウドの仕組みについてこられるかは心配でしたね。
導入前に私が取引先様に訪問してサービスについて説明してみたのですが、取引先様の方でも、業務の効率化や引継ぎといった課題をもっているところがあり、データが自動で蓄積され、そのデータが利用できるという点にメリットを感じて頂けました。最初は心配している取引先様もいましたが、今は問題なく利用いただいております。
また、Leaner社の導入時のサポートについても満足しております。質問に対するレスポンスがとにかく早く、親身にサポートしていただいたお陰で、スムーズかつスピーディーに導入することができました。
―「Leaner見積」を活用して、今後実現していきたいことを教えてください。
梅津:部品調達コストは製品競争力に直結します。また、その継続的な原価低減が調達の使命となっています。その為には取引先様との関係性をいかに構築出来るかが鍵となりますが、内外からの要求、品質、BCP対応などに多くの時間が取られてしまうのが現実です。Leaner見積の活用で、見積業務の単純作業にかかる工数が削減されることで、本来、調達部が注力すべき取引先様との関係性の強化、メーカー分析、コスト分析などの業務に注力してほしいと思っています。
その結果として、調達部が「よくやってくれるよね」と社内で評価され、最終的には調達部門全体のモチベーションアップにつながればいいと期待しております。
―最後に、しげる工業の調達部門として、今後目指していく姿についてお聞かせください。
小見山:しげる工業は2022年3月に「パートナーシップ構築宣言」を公表しました。サプライチェーンの取引先の皆様や価値創造を図る事業者の皆様との連携・共存共栄を進め、新たなパートナーシップの構築を目指していくことを宣言したものです。調達部門としても、取引先様とは対等なパートナーとして、お互いをリスペクトし、共存共栄の関係を構築していきたいです。
梅津:取引先様とは当然ながら、対等の立場であります。我々が取引先様のことをよく知った上で、考えて発信する。そして、取引先様からも新たな提案を頂く、ということに繋がるような関係性を目指したいと考えています。
吉田:取引先様と共存共栄といっても、取引先様と対話しないことには始まりません。Leaner見積により削減された時間を使い、少しでも多く取引先様と会話したいです。また、取引先様からしげる工業の調達部は良い意味で変わったと言ってもらえるような調達部を目指していきたいです。
―本日はありがとうございました!